シグナル とは

(原題:The Signal)
日本公開日:2015年5月15日
大学に通う男女3人が、ある日”ノーマッド”と名乗る謎のハッカーからメッセージを受け、そのハッカーを追うことに。
ハッカーの所在地を訪れたが、そこで起こる謎の現象。そして3人が目を覚ましたそこは謎の研究施設だった。
オススメポイント
一人で見る:
友達と見る:
デートで見る:
家族と見る:
お子様と見る:
徐々に謎が明かされていくゆっくりとした内容で盛り上がりに欠けます。アクションシーンもありますが、壮絶なアクションと言うより、映像で魅せるアクションでした。
長編2作目となるウィリアム・ユーバンク監督の作品。 撮影監督出身で最新の撮影技術を好む監督なので映像美には定評があります。 ブレントン・スウェイツ、オリビア・クック、ボー・ナップと言う若手俳優に加え、ローレンス・フィッシュバーンという実力派俳優も起用。
予告編
これより下記にはネタバレが含まれます
※これ以降は筆者の感想と共に作品の内容に深く関係する記述が多く含まれます。またこれは筆者の私見であり、矛盾や間違い等がある場合があります。それら全て含め、予めご了承頂いた上でご覧下さい。
あらすじ(ネタバレ)
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マサチューセッツ工科大学に通うニック。
ニックはここ数年で歩行に支障が出る難病にかかっていた。
そのニックと共に大学生活を過ごす親友のジョナ。
そしてニックのガールフレンドのヘイリー。
この3人はどこに行くにもいつも一緒。
そんな中、ヘイリーの引っ越しのため、車でカリフォルニアへ向かっていた3人。
そんなニックとジョナは最近ある事を気にしていた。
それは大学のPCをハッキングし、侵入してきた”ノーマッド”と名乗る謎のハッカーのこと。
ある日、ニックのスマートフォンに一通のメッセージが届く。
相手はノーマッド。
最初にノーマッドの存在に気付いてから、ノーマッドに目を付けられ、ニックとジョナもノーマッドに目を付けていた。
すぐにニックとジョナはそのメッセージを辿って、ノーマッドの位置を追跡。
そしてノーマッドはネバダ州に居る事を突き止める。
その後、ニック、ジョナ、そしてヘイリーの3人で寄り道。
ネバダ州までノーマッドを追うことに。
その道中。
ジョナがノートパソコンでノーマッドについて調べていると、ジョナのパソコンに、今まさに3人が乗っている車の画像が。
監視カメラをハッキングしたのか、どちらにせよ確実に自分達を挑発してると踏んだニック達。

一方で、日々悪化していくニックの足。
ニックは自分の難病がヘイリーに重荷になることを思い、ヘイリーと距離を取ろうとしていた。
が、ヘイリーはその対応に逆上。
[mix1]
そしてついにノーマッドが居ると思われる建物に到着。
もしかしたらこの場所のデータは偽装されたものの可能性もある、とヘイリーを車に残し、ニックとジョナで建物の中へ。
建物は酷く荒れており、なにもないかと思った所に地下への入り口が。
ニックがそこに入ろうとすると、外からヘイリーの叫び声が。
すぐに車に戻るニックとジョナ。
すると車のドアは全開。ヘイリーの姿もない。
辺りを見回すと、ヘイリーと思われる姿が。
すると突然ヘイリーの身体が空に向かって飛ばされる。
そこで意識を失ったニック。
[mix1]
目覚めると病院のような施設で車椅子に乗せられてどこか連れて行かれるニック。
意識は朦朧とし、状況もよく判断できない。
腕には点滴が付けられ、何故か足も動かない。
そしてある部屋に入れられ、テーブルに着けられると、対面に一人の男が。
男は施設の研究員のよう。
研究員の名はデイモン。
デイモンは防護服を着てニックの前に座る。
そのデイモンに名前を聞かれたニックは、よく分からないままでもそれに応える。
デイモンはそれをテープレコーダーとメモに記録。
質疑応答の中で、ニックは地球外の何かと接触したことを知る。
そのせいで足が動かないのかなど、色々聞きたいニックだが、突然ニックの鼻から鼻血が。
今日はここまでにしよう、と別の部屋に移動されるニック。
無機質な部屋にベッドなど、窓はなく、マジックミラーで常に監視されている部屋。
部屋はキーコードでロックされ、監禁状態。
研究所には多数の研究員が居るが、誰一人として会話もせず、ニックに口を開くのはデイモンのみ。
そして研究員にされるがままに部屋を移動させられるニック。
その道中でベッドで寝たヘイリーが居る部屋を見つける。
ヘイリーと話をさせてくれと頼むニックだが、今はまだ出来ないと言うデイモン。
我々が人間に対して尽くせる処置は全て行って居ると言うデイモン。
そして再びデイモンから簡単なテストと質疑応答が。
指は10本あるか?
地球から来たか?
ノーマッドからのシグナルはいつ受けたか?
など、意味深な質問ばかり。
それにも偽らずきちんと応えるニック。
[mix1]
そしてまたも部屋に閉じ込められるニック。
すると突然その部屋にある通気口ダクトから声が。
声の相手はジョナ。
会話からジョナも閉じ込められている様で、ジョナは脱走をしようと持ちかける。
丁度ニックも脱走を考えていたところで、実行に移すことに。
それまでの準備の間にも、研究所のおかしな所に次々と気付くニック。
動かない時計。
意味の分からない自分への実験。
研究所のおかしさに不信感が募る。
そんなある日、研究所に警報が鳴り響く。
慌てる研究員だが、すぐに事態は収まり、ニックが部屋を移動する際に廊下の壁が酷く大破していたり等、ただ事では無いと。
そんな事があったのにも、何事もなかったように淡々とまたも質疑応答するデイモン。
そしてついにニックの脱走計画が実行に移る。
脱走のために準備したいくつもの計画を駆使して車椅子に昏睡するヘイリーを乗せたストレッチャーを繋いで、研究員を交わし、ついに研究所から出るエレベーターの前まで来るが、最後の最後でボタンに手が届かず捕まってしまうニックはそこで気を失う。
ニックが目覚めるとストレッチャーに寝かされていた。
ふと隣を見ると、同じくストレッチャーに横たわるヘイリー。
そしてそこで目覚めるヘイリーと久々の会話。
も研究員によって引き離されようと。
荒ぶるニックがストレッチャーから落ちてしまう。
と、自分の足を見るとそこには自分の足では無く、機械のような義足の足が。
驚き混乱するニック。
それから数分後、なんとか義足で立ち上がることが出来たニックは、謎の怪力で部屋のドアを破壊。ヘイリーを乗せたストレッチャーを引きずり、またも脱走。
しかし前回とは違い、ヘイリーに目覚めた新たなパワーで次々と研究員を倒して、エレベーターまで到着。
そこのデイモンがやってきて制止しようとするが聞かないニック。
何故足の事を黙っていた?と言うニックに、ただ治療しただけだと言うデイモン。
ここに留まってくれと言うデイモンの言うことを聞かずエレベーターの扉を閉めるニック。
そしてエレベーターで上階へ。
そこからしばらく歩いた先でやっと外に出ることが出来たニック。
そこで目を覚ますヘイリーと歩いて荒野を彷徨う。
するとそこに1台の車が。
それに乗せて貰うニックとヘイリー。
そして あるガソリンスタンドに着き、具合の悪そうなヘイリーを、止まっていたトラックの足場に座らせ、店内に電話をしにいくニック。
そして、電話をかけようとするニックだが、「この電話番号は使われていません」と。
なんど試しても応答がなく、不思議に思っていると目の前を走り去るトラックが。
それはヘイリーを座らせていたトラック。
ニックは走ってトラックを追い、なんとか追いつくが、運転手はニックを気味悪がりトラックを加速。
置いてかれるニックだが、そこでニックの義足がパワーを発揮。
激走するトラックに追いつく。
そしてトラックを奪い、ヘイリーと荒野をただただ走る。
そこである家を見つける二人。
その中で地図を見つけたニックは、同じ場所を言ったり来たりしていることに気付き、またも混乱。
その日はそこで一夜を過ごすことに。
と、夜、ニックを追うデイモン等研究員達がその家へ。
それに気付いたニックは隙を見て逃げようとする、とそこでなんとジョナと再開。
ジョナは研究員になりすまして先に逃げ出していた。
そこでジョナの両腕がニックの義足のように改造されていることを知り、ヘイリーもまた何か身体に埋め込まれていることを知る。
全て政府の罠にかかった。逃げようと思っても逃げられない。地図がそれを物語っていると自暴自棄になるジョナ。
道は一本しかない…と言うジョナに、そこを行けばいいと言うニック。
そして3人は再び荒野の一本道を進み始める。
[mix1]
しばらく車を走らせると、目の前に検問所が。
研究員の防護服に身を纏っていたジョナが、検問所をスルーしようとするが、武装集団が車を調べさせて貰うと。
ニックとヘイリーが見つかってしまうと思ったジョナは車を急発進。
しかしすぐに車止めが。
立ち往生する3人に向けて発砲する武装集団。
接近する武装集団を一人倒し、銃を手に入れたジョナは次々と敵を倒し、検問所の中へ。
そこにあったノートパソコンで何かをしようとするが、両手を改造された指ではキーを打てない。
そこにグレネードが打ち込まれ、重症を負うジョナ。
なんとか起き上がったジョナはニックとヘイリーだけでも逃そうと、ニックに車に乗れ!と強要。
ジョナの覚悟を目の当たりにしたニックは、運転席へ。
ジョナが改造された拳に全力を注いで車止めを破壊。
次いで武装集団の足止めを。
その間にトラックで逃げるニックとヘイリー。
ジョナの覚悟と最後に涙するヘイリーと、何も出来なかった自分に怒るニック。
それからしばらくトラックを走らせると、目の前にデイモン等が車を駐めて道を封鎖。
そしてトラックのタイヤをパンクさせられ、トラックは横転。
トラックから投げ出されたニックとヘイリー。
そこでヘイリーが捕らえられてしまう。
大勢に銃口を向けられる中、立ち上がったニックはそこでノーマッドの真実を知る。
その事実を知ったニックは走り出し、全速力で封鎖している車をなぎ倒し暴走。

ノーマッドの真実とは。
そしてニックがたどり着いた最果てとは。
この作品を観るには
感想とか
「第9地区」「クロニクル」は凌げたのか
公式で”「第9地区」「クロニクル」を凌ぐ“と言うキャッチコピーを付けている本作。

「第9地区」の様に宇宙規模の物語と、「クロニクル」の様に若者が突然超越した能力を手に入れるという点は合っているものの、この二つの作品を凌げたかというと私的には何とも言えず、比べるのもナンセンスかと思います。
アクション性では「第9地区」「クロニクル」の足下にも及びませんが、映像美やカメラワークのセンスで言えば両作品を凌いでいると言っても過言ではないと思います。

ただ、やはり「第9地区」「クロニクル」のように次々とこの後何が起こるのかと考えるワクワク感で言えば、当作品は少しスローペースであり、もっと何かが潜んでいるかもという期待感も薄かったため、盛り上がりに欠けました。
何かと引き合いに出される「第9地区」「クロニクル」の名前を出したのは宣伝文句としては有りだと思いますが、結果的に当作品の品質を下げてしまっているようで残念でした。
映像で魅せる
撮影監督出身で最新の撮影技術を好むウィリアム・ユーバンク監督。
上にも挙げたように、映像美やカメラワークは一級品です。

当然アクションシーンにも魅せる演出が多く取り入れられているのですが、キャラクターの アクション動作 一つ一つに重点を置きすぎて、スピーディーさに欠け、盛り上がりが損なわれてしまっているようでした。

せっかくの迫力あるアクションシーンもほぼ全てスローモーションなので、焦りや緊迫感が伝わらず、故に落ち着いて見ることができてしまったので、興奮する場面はほとんどありませんでした。
何もかもがミステリー
謎が積み重なり、徐々に解き明かされていくのですが、常に思考をこらして自分なりに背景を想像しなければ、最終的に何が答えだったのか見失う様なミステリーな内容でした。
全てを言わずとも、見ていれば分かるでしょ?と、見ている側を試すような結末になっています。

故に色々回収できていない謎も多かったのですが、これもまたこの映画の面白いところなのかも知れません。

若干の消化不良と途中からオチが想像できてしまった点はあるものの、雰囲気や映像技術で何とかカバー出来ていたかと思います。
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