映画『四月は君の嘘(実写版)』感想(ネタバレ&あらすじ有り)

四月は君の嘘(実写版)
日本公開日:2016年9月10日

四月は君の嘘 とは

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ヒューマンメトロノームの異名で呼ばれた天才ピアニスト少年は、ある日を境にピアノの音が聞こえなくなり、ピアノを辞めてしまう。
そして高校生になった少年は、あるヴァイオリニストと出会うことで、あの日から止まってしまったモノトーンな世界がカラフルに動き出す。

オススメポイント
一人で見る:
友達と見る:
デートで見る:
家族と見る:
お子様と見る:
原作好きには納得のいかない内容だと思います。
原作を知らない人は、きちんと感動できるポイントもあるので、それなりに満足できると思います。
原作を予習すると逆にガッカリしてしまうので、原作を知らない方は何も知らないまま見ることをオススメします。

漫画家、新川直司の作品「四月は君の嘘」の実写映画。
2014年にはフジテレビにてアニメ化され大ヒット。その流れで実写化。

実写映画ではお馴染みの、広瀬すずと山崎賢人が主演。

監督は「ただ、君を愛してる(2006)」「Life 天国で君に逢えたら(2007)」「パラダイス・キス(2011)」等を手がけた新城毅彦。
脚本には「ストロベリーナイト(2013)」を手がけた龍居由佳里。


予告編

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これより下にはネタバレが含まれます

※これ以降は筆者の感想と共に作品の内容に深く関係する記述が多く含まれています。最低限の配慮はしていますが、今後作品をご覧になる際、先入観により純粋に作品を楽しめなくなる可能性があります。またこの感想は筆者の私見であり、矛盾点や間違いがある場合があります。それら全て含め、ご了承頂いた上でご覧下さい。


本作のあらすじ(ネタバレ)

高校の音楽室。
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そこではピアノを弾きながら新譜の音源を耳コピして譜面に起こすバイトをしている公生と、それを聴く椿。
すると、そこにサッカー部の部活を抜けて来た渡が。

3人は小さい頃からの幼馴染みで、公生は二人が見ている世界はきっとカラフルで、自分が見ている世界はモノトーンだと、心の奥に闇を持っていた。

そして下校中に椿から、別のクラスの女の子が渡と会いたいと、次の土曜日に二人を合わせることになり、何故か公生も巻き込まれることに。
そんな中、渡の携帯にはケイコちゃんから電話があり、ウキウキで会いに行くチャラさ全開。

そして公生が自宅に帰ると、そこには紘子さんと娘の小春が。
紘子さんは有名なピアニストで、公生の母親とは仲が良く、公生の才能を見つけ、ピアニストにするべきだと勧めたのは紘子さん。
そんな紘子さんは、公生の父親が単身赴任で居ないときに、たまにご飯を作りに来てくれる。

そして「お母さんにただいまは?」と紘子さんに言われる公生は、少し気まずいような顔をしながらも仏壇にただいまと。
公生の母親は小さい頃に亡くなっていた。



そして約束の土曜日。
集合場所に5分前に来た公生だが、渡と椿はまだ来ない。

するとどこからか、音楽が聞こえ、公生が歩いて行くと、丘の上で子供達と音楽を奏でる女の子が。
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見とれる公生はスマホで写真をパシャリ。
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と、その瞬間にどこからか風が吹き、女の子のスカートがふわり。

と、女の子がスマホのカメラを向けている公生に気付き、盗撮魔!変態!と迫ってくる。
そこにやっと椿と渡もやってきて、その女の子はかをりという名前で、渡と会いたがっていた子だと紹介される。
そしてかをりに「友人A」と紹介される公生。

そして何故か音楽ホールへ行くことに。
何故音楽ホールへ?と問う公生に、かをりは「私、バイオリニストなの」と。

しかし公生は音楽ホールへ行きたがらず、帰ろうとする。
と、そんな公生の手を取り、君も行こと止めるかをりに何も言えずホールまで行ってしまう公生。


そしてヴァイオリンのコンクールが行われている会場に入ると、既に客席には人が。
すると入ってきた公生を見て、客達が「あれって有馬公生だよな?」などとざわつく。

そんな注目も無視して席に座ると、この事を黙っていた椿に文句を言う公生。
言ったら来なかったでしょと、公生をどうしてもここに連れてきたかった様子の椿。

そしてかをりの番がやってくる。
「バガニーニ/24のカプリースOp.1 第24番 イ短調」

初めは譜面通りに弾くかをりだが、途中からテンポも強弱もバラバラに、自分の弾きたいように弾くスタイルに。
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そのスタイルに審査員長は前代未聞だ!と激怒。

一方、公生は、楽しそうに自由に弾くかをりを見て驚きながらも目を奪われていた。
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そんな公生を見て嬉しそうな椿。



その後、学校の屋上でボーッとしている公生に、渡がかをりちゃんの事考えてたろ?と言うが、公生は、あの子は渡の事が好きなんだよ、と冷めた様子。
心惹かれる子女の子に好きな人が居るのは当然。恋をしてるからその子は輝く。だから人は理不尽に恋に落ちる。と、その渡の言葉に感心する公生。
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しかし、僕には無理だと尚も消極的な公生に、無理かどうかは女の子が教えてくれるさ。と、またもその渡の言葉に感心する公生。


そして下校。
すると渡の携帯にマキちゃんからカラオケの誘いがあり、喜んで飛んでいく渡。

そして公生が一人で帰っていると、目の前にかをりが。

そこでかをりから、コンクールの感想を聞かれ、良かったと答える公生。
すると、かをりは渡を待っているようで、公生は咄嗟に渡は部活で、と嘘をついてしまう。
そして部活を見に行こうと学校へ戻ろうとするかをりを、試合が近くて大変そうだから!と必死に止める公生。
すると、かをりは「じゃあ君。君を代役に任命します」と、かをりがずっと行きたかったと言うカフェへ。


そこでスイーツを食べていると、カフェに置かれたピアノを弾く小さな女の子達が。
それを見たかをりは、女の子達に話しかけて、「あそこに居るお兄ちゃんピアノが上手なんだよ」と、無理矢理公生を無理矢理ピアノの前へ。

仕方なく、きらきら星を弾く公生。
その音色にカフェに居る客全員が耳を奪われ、ほっこり笑顔に。

と、突然公生の手が止まり、震える手を握りながら「ごめん」と店を飛び出す公生。
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飛び出していった公生を追いかけてきたかをりは、そのまま公生を連れて海の見える丘へ。
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「もうピアノは弾かないの?」と聞くかをりに、公生は「やっぱり知ってるんだ、僕のこと」と、公生の素性を知ってたかをりは、
「森脇学生コンクールピアノ部門優勝」
「プリエ国際コンクール2年連続入賞」
「佐伯コンクール最年少優勝」などなど、
その演奏は正確かつ厳格。
公生にはヒューマンメトロノームとの異名も付き、8歳でオーケストラとモーツァルトの協奏曲を共演し、神童と言われるほどの実力の持ち主だった。

同年代で公生を知らない演奏家はいないほど有名な公生に、なんでピアノを辞めたの?と聞くかをり。

すると公生は「ピアノの音が聞こえない」と。
弾き初めは聞こえるが、集中すればするほど、ピアノの音だけが聞こえなくなると告白。
公生はそれを自分への罰だと。

だからピアノは弾けないという公生に、突然、前のコンクールの聴衆推薦枠で2次予選に出られることになったと言うかをりは、伴奏を公生に頼む。
弾けないと断る公生に、「もう決めた!友人A君を私の伴奏者に任命します」と強引に引きずり込むかをり。
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その日から、かをりを手を組んだ椿は、公生へ伴奏をさせる為の、ほとんど嫌がらせの行為が始まる。
校内放送で課題曲を永遠リピートで流し、公生が見る場所には譜面を大量に貼る。

そしてバスで下校するかをりと椿。
積極的に協力してくれる椿に「椿ちゃんは有馬君が好きなんだね」と言うが、椿は公生は小さい頃から一緒に居る弟みたいなモンだと。

公生は母親が亡くなった後に出たコンクールで、演奏を途中で止めて、それ以来ピアノを弾かなくなった。それから公生の時間は止まったままで、その時間をまた動かしてあげたいという椿。
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そして先にバスを降りる椿と別れ、かをりはその先のバス停「都津原大学病院前」で降りる。



そして二次予選の日。

屋上で寝そべる公生の目の前にはかをりが。
尚も公生に伴奏を頼むかをりに、それでも弾けないという公生。

弾けないんじゃ無くて弾かないだけだと言うかをりに、弾くのが怖いと告白する公生。

そんな公生に私が居るじゃん!と、さらに熱弁の後に、私の伴奏をお願いします。くじけそうになる私をちょっぴり支えて下さいと、涙を流しながら頼むかをり。

そんなかをりを見て、どうなっても知らないからなと引き受ける公生。


そして椿と渡の協力もあって、なんとかコンクール会場に間に合った二人。
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必死に譜面を復習う公生に、顔を上げて私を見て!大丈夫君なら出来る。旅の恥は書き捨て。思いっきり恥かこうよ。二人で。と、公生の気を緩ませるかをり。
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君は自由そのものだと言う公生に、違うよ。音楽が自由なのと答えるかをり。
そして二人の出番が。

「サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ」

二人の演奏で、会場はその音色に耳を奪われる。
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かをりの天真爛漫な演奏にも、流石の公生はかをりのテンポに難なくついていく。

が、公生がふと客席を見ると、そこには居るはずの無い母親の幻影が。
するとついに公生の耳が聞こえなくなり、次第にテンポがおかしくなっていき、音がズレていく。
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その聞くに堪えない演奏で会場は不穏な空気に。

そして、公生はかをりの邪魔をしてはダメだとピアノを弾く手を止めてしまう。
伴奏が無くても、かをりがバイオリンを弾き続ければ審査は続くが、なんとかをりまで弾くのを止めてしまう。

驚きかをりの報を向く公生に、かをりは「アゲイン」ともう一度弾き始める。

しかし、一度演奏を止めてしまった所でかをりのコンクールは終わり。
そんなかをりを見て、直前にかをりが言っていた「旅の恥は書き捨て。思いっきり恥かこうよ。二人で。」「音楽が自由なの」と言う言葉を思い出し、もう一度弾き始める公生。

公生は音が聞こえない中、椿とかをりに嫌という程見せられた譜面や音を頭の中で思い出し、ただひたすら鍵盤を叩く。
その演奏はまるで殴り合いのように、お互いに強く激しく。

その演奏に引き込まれていく会場。

そして演奏を終えた二人に会場はスタンディングオベーションで拍手喝采。
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客席に挨拶をする二人に、かをりは「死んでも忘れない」とボソリ。



しかしそれからも、公生はやはりピアノは弾かずに居た。

学校からの帰り道の橋を渡っていると、公生の目の前に、またしても突然現れるかをり。
そこで、かをりから二人で出たコンクールは落ちたが、そのコンクールを主催していた所のガラコンサートに招待され、それに一緒に出ようと。

きっとまた僕がダメにすると、またも消極的な公生に、「弾いてるときの気持ち、降り注ぐ拍手。自分の音楽が届いたあの瞬間。君は忘れられるの?」と問うかをり。

みんな怖い。それでも歯を食いしばって舞台に上がる。何かに突き動かされて私たちは演奏する。そうやって最も美しい嘘が生まれる。

まだ17歳。思い切って飛び込もうよ!と、突然橋から飛び降り、川へダイブするかをり。
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そんなかをりを見て、そうだ忘れられるはずが無いと公生も川でダイブ。

川でずぶ濡れになりながら笑い合う二人。
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その後、公生の家で着替えさせて貰ったかをり。
と、かをりが公生の家でピアノの部屋を発見。が、そこはもう何年も人が入った形跡もなく、ピアノにはホコリがかぶったまま。

そして、かをりが掃除をしよう!と部屋をピカピカに。
と、かをりが棚から一冊の楽譜を手に取る。

「クライスラー/愛の悲しみ」

ガラコンで弾く曲をこれに決めたというかをりに、公生は他の曲にしよう!と何故か必死。

と、そんな二人のじゃれ合う姿を隣の家の窓から何とも言えない顔で見る椿の姿が。
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それから練習をしようとする公生だが、ある思い出が蘇る。

それは公生が小さいとき。
コンサートで優勝した喜びを会場のロビーで車椅子に乗った母親に報告するが、母親は公生の頬をはたき、細かいミスタッチやテンポのミスを指摘。

お母さんに元気になって貰えるように弾いたと言う公生の言葉も無視して、尚も怒鳴りつける母親に、公生は逆ギレ。
「お前なんか死んじゃえばいいんだ」と一言。

その後、病院に戻った母親はそのまま亡くなってしまった。

公生は自分が母親を殺したと、そして音が聞こえなくなった公生は、ピアノを弾かなくなった。


「クライスラー/愛の悲しみ」は公生の母親が特に好きな曲で、公生が小さいときも子守歌代わりに聞いていた。

その背景を知っている紘子さんは、公生に、迷ってるなら弾いて母親の声を聞けば良い。もしかしたら音が聞こえないのは贈り物なのかも知れないと言う。

こうしてかをりと公生はガラコンに向けて練習を重ねる。
僕は伴奏だから…と裏方気分の公生にも「ガラコンは目立ってなんぼ!」と気分をもり立てるかをり。



そしてガラコンサート当日。

出番前だと言うのに、かをりの姿は無い。
紘子さんと公生は出番を後回しにして欲しいと頼むが、トリはコンクールの優勝者だと決まっており、例外は認められないと。
さらに、コンサートでのかをりの演奏を良く思っていなかった人からは、あんな音楽を冒涜してるようなヤツとまで言われてしまう。

その発言にイラッとした公生は、なんとヴァイオリンのガラコンにピアノ一人で出ることを決意し、係員にはかをりが間に合ったと言い、公生の思い切った賭けに驚く紘子さんには「ガラコンは目立ってなんぼですから」と、舞台へ。


そして公生は一人で演奏を始める。

「クライスラー/愛の悲しみ ラフマニノフ編 ピアノ独奏版」

気持ちも入って強く強く引き続ける公生だが、そこで母親が奏でていた「愛の悲しみ」の音を思い出す。
母親が教えてくれた赤ん坊の頭をなでるように優しく弾くのと言う言葉。

そして音が変わる。

さらに紘子さんの回想で、公生の母親が公生のピアノに対してストイックだったのは、自分の余命が残り僅かである事から、自分がいなくなっても大切な息子である公生がピアノだけで食べていけるように、今自分が与えられる技術を完璧にたたき込まないとと言う母親の愛の形だったことが明かされる。

そして公生はピアノに乗せて母親に最後の別れを告げる。


その後、かをりが会場に来られなかったのは、当日の朝に貧血で倒れ、頭を切ってしまった事から、入院してしまったからと言う。

そして公生は椿、渡と一緒に病院へかをりのお見舞いに。

元気そうなかをりを見つめる公生。
そんなかをりを見て病室を出て帰ってしまう公生。

その後、公生にかをりから黙って帰ったことへの抗議の電話がかかってくる。
そして電話を終えた後、病室へ戻るかをりだが、突然倒れてしまい、動かない足に悲鳴をあげる。
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一方、椿は公生への自分の気持ちに気付き始めていた。

そんな中、公生が歩いていると目の前にかをりが。
退院したというかをりの買い物に付き合うことになった公生。

そして色々な買い物を終えて、かをりが学校にカバンを忘れた!と言い、二人で夜の学校へ。
教室に来ると、辺りを見渡し、ゆっくりと自分の机に行き、自分の机に落書きしてあるヴァイオリンの絵を見て感慨深い表情をする。

そんなかをりの雰囲気を見て、カバンを忘れたのは嘘だろ?と公生が図星を突く。

すると退院も嘘で、一日だけの外出許可を貰って出てきたと言う。
そしてかをりは、自分の病気の状態が良くないことを告白し、涙を見せる。
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公生は何も言わず、戻ろうとかをりの手を引こうとするが、かをりは自分dね歩けるから!と公生の手を振り解いて教室を出ていってしまう。

と、かをりを追う公生の目の前で倒れ込んでしまうかをり。
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その後、病院に運ばれたかをり。
公生はかをりの両親に娘のわがままで巻き込んでしまって申し訳ないと逆に謝られてしまう。

そして、かをりに呼ばれた公生が病室に行くと、こんなんなら会わなきゃ良かったねとボソリ。
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その言葉になにも答えられず、病室を出て行く公生。
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それからまたもお見舞いに行くことを拒否する公生に、いよいよ渡も怒鳴ってしまうが、公生は泣きながら、なにを話したら良いか分からない。僕には無理だと。
無理かどうかは女の子が教えてくれるさ。かをりが何かを頼むのは俺じゃ無くて決まっていつもお前だ。と公生を励ます渡。
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その後、病院の前までは来るが、やはり帰ろうとしてしまう公生を見つけた椿は公生を誘って丘の上のベンチへ。

そこで公生は自分がかをりの事を好きだと言うことを椿に言う。
それを聞いた椿は「かをちゃんは渡が好きなの!だからあんたは私と恋するしかないの!」と、その言葉に驚く公生を捨てて走ってどこかへ行ってしまう椿。


その後、かをりの病院に来ることが出来た公生は、かをりに頼まれて屋上へ。
そこで公生は、東日本ピアノコンクールに出ることを告げる。

そしてまたかをりと一緒に演奏したいという。
そこで公生がかをりに君が好きだと告白。

それを聞いたかをりは、君は残酷だね…と、泣きながら「怖くて仕方ないの、死にたくない」と公生に抱きつく。
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そしてかをりは、医者にさえ悪あがきかも知れないと言われる手術に、少しの可能性希望があるならと、手術に挑むことを決める。

一方で、公生もコンクールに向けて、練習を重ねる。



そして、かをりの手術を同日に行われた東日本ピアノコンクール。
舞台に向かう公生。

「ショパン/バラード第1番 ト短調 作品23」

一方で、かをりの手術も始まる。

公生の奏でる音色は直ぐに会場を包み込む。
それは公生のかをりへの恋心をそのまま赤裸々に表現したような音色。
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と、演奏が中盤に差し掛かる頃、公生のピアノの音に合わせて突然ヴァイオリンの音色が重なる。

公生が顔を上げると、目の前にはヴァイオリンを弾くかをりの姿が。
それを見た公生は泣きそうになりながらも、演奏を続ける。
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会場にはピアノの音色だけ。しかし公生にはハッキリとヴァイオリンの音色が重なって聞こえる。

そして二人の演奏が続き、涙をこらえながら弾く公生に、公生を見つめてヴァイオリンを弾く手を止めるかをり。

そんなかをりを何とも言えない表情で見つめる公生の目の前からかをりの幻影が消えてしまい、演奏は終わる。


その後、音楽室でかをりから送られた手紙を読む公生。
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そこで語られる、かをりが公生を初めて見たときの話。
自分が重い病気にかかり、後悔しないために立ち向かうと決めた話。

そしてかをりがついた一つの嘘が明かされる。
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さらにお別れの言葉と、最後にかをりの本当の気持ちが伝えられる。

音楽は綺麗。演技はぎこちない

演奏は全てが当て振りで、指のアップは別のモデルアーティストのものでしょう。
故に、音楽は非常に美しく、聞いているだけで感動できるレベルだと思います。
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しかし、弾いている本人達の佇まいというか、特にピアノ前に座っている姿がガチゴチで、全く音楽にのれてないのがピアニストらしくなくて違和感が凄かったです。
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2時間では表現できない

実写版では原作の3分の2程の内容がゴッソリ抜かれています。
重要な登場人物も、存在しない者としてエピソード自体もありません
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実写版で四月は君の嘘という作品の面白さが表現できていたかと言うと、表面の薄皮程度しか見せられていなかったのが非常に残念で、駄作と評価されても仕方ない内容だというのは否定できません。

しかし、それだけエピソードや登場人物を抜いたのにも関わらず、2時間の物語としては上手くまとめられていました
原作を知らずに見たとしても、それなりに見られる内容だとは思いました。

きちんと感動できるポイントもあり、特にラスト、公生が一人で演奏している中、バイオリンを弾くかをりの幻影が現れる瞬間は実写版オリジナルの演出で鳥肌が立ちました。

原作との相違点

私が気付いた原作との違いは。

・主要キャラが高校生(原作は中学生)
・かをりが茶髪(原作では金髪)
・ガラケーではなくスマホ。
・紘子さんが最初から登場し、椿と渡とも面識がある(原作では毎報音楽コンクールからの登場)
・公生がかをりを「宮園」と呼んでいる(原作では「君」としか呼んでいない)
・川に飛び込んだ後、公生が眼鏡を落とさない(原作ではなくす)
・カフェで公生が一人できらきら星を弾く(原作では小さい女の子達と一緒に弾く)
・カフェの後、公生がピアノの音が聞こえないことをかをりに告白する場所が海の見える丘(原作ではカフェの前の公園)
・公生がコンサート後に母親から叱られるシーンでビンタのみ(原作では杖で叩かれ流血)
・公生とかをりが初対面するところで、かをりがピアニカで弾いている曲が「ハトと少年」ではない。
・公生とかをりがきらきら星を歌いながら歩く(原作では自転車の二人乗り)
・かをりの最初のコンクールで弾いた曲が「バガニーニ/24のカプリースOp.1 第24番 イ短調」(原作では「ベートーベン/ヴァイオリン・ソナタ 第9番 クロイツェル」)
・かをりが公生にピアノを弾かせようとしていることを椿に初めて話す場所が教室(原作では家庭科室)
・椿とかをりが下校するときのバスの外が夕方で晴天で座っている所が向かって右側(原作では夜の雨の中で左側)
・聴衆推薦での第二回のコンクールで、かをりの着ているドレスがエメラルドグリーン色(原作では白色)
・「君は忘れられるの?」が橋の上(原作では病室)
・かをりが課題曲を決める場所が公生の家のピアノの部屋(原作では学校の音楽室)
・椿の告白が晴天の中、丘の上の芝生のベンチ(原作では雨の駄菓子屋の前)
・かをりが夜の病院で歩けなくなる場所がロビー(原作では廊下)
・椿が柏木から公生への気持ちに核心を突かれる場所が校庭のベンチ(原作では体育館でバスケしながら)
・「無理かどうかは女の子が教えてくれるさ」が屋上(原作では音楽室と廊下)
・雪降る病院の屋上で、公生がかをりに好きだと告白する(原作では公生はかをりに直接一度も好きだと言っていない)
・公生がかをりからの手紙を音楽室で読む(原作では色々な思い出の場所を歩きながら読む)
・ラストで椿が音楽室で公生に「一人になんてなれると思うなよ」と言う(原作では踏切の前)


主にカットされた部分は

・井川絵見、相座武士、相座凪、三池俊也、チェルシーのエピソードと存在自体は丸々無し。
・毎報音楽コンクールとそれにまつわるエピソードは丸々無し。
・公生がモーモー印の牛乳とたまごサンドが好きなエピソードは無し。
・公生が事故に遭った黒猫を動物病院へ連れて行くシーンは無し。
・椿が音楽室の窓ガラスを割るシーンやエピソードは無し。
・椿が夜、隣の公生の家から聞こえてくるピアノを聞くシーンは無し。ここでの貴重な椿の母親も登場無し。
・黒猫のキーポイントも亡いので、冒頭でかをりが黒猫を追いかけるシーンは無し。
・公生とかをりが初対面するところで、木にかけられたヒールとレギンスを取るシーンは無し。
・かをりの最初のコンクールで演奏後に子供から花束を貰うシーンは無し。
・第二回のコンクール演奏後に舞台袖でかをりが倒れるエピソードは無し。その後の病室でのシーンも無し。
・かをりが手術に向けて前向きにリハビリなどしているエピソードやシーンは無し。
・雪降る病院の屋上で、かをりが公生を勇気づける為にヴァイオリンをエア演奏するシーンは無し。
・かをりの死後、公生が墓地でかをりの両親から手紙を貰うシーンは無し。
・かをりから小さい頃のかをりとたまたま通りかかった公生が写っている写真のプレゼントやエピソードは無し。
・公生と椿の幼少期のエピソード丸々無し。
・第二回のコンクールの後、椿が公生になにかを初めて感じるシーンは丸々無し。
・斎藤キャプテンと椿との恋物語は無し。斉藤キャプテン自体の存在も無し。
・椿と渡の部活の試合は丸々無し。なので、椿が足を怪我して公生におぶって貰うシーンや、渡が最後の試合に負けて泣くシーンは無し。
・椿と公生が浜辺でアイスを食べながら、公生が音楽科のある高校へ行く告白をするシーンは丸々無し。
・椿が公生の高校の近くの高校に行く努力をするエピソードも無し。
・音楽室で失恋した椿を公生がピアノで慰めるシーンやエピソードは無し。
・椿が公生の髪の毛を切ってあげるシーンは無し。
・紘子さんが公生にピアノを勧めたのは私だという罪の意識も無し。
・その他、数々の名言がカット。


細かいところを入れると、まだまだありますが、目に付いた所はこの辺りでした。

特に四月は君の嘘という作品は細かい伏線や名言、語りなどが後の物語に繋がる重要なキーワードとなるので、実写版では名言は少し、語りはほぼ無しだったので、作品としての深みが無く薄っぺらい内容になってしまっていたのが非常に残念でした。

嘘がつけていない

この作品のタイトルにある「嘘」という最も重要なキーワード
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終盤までかをりは渡が好きで、公生はただの音楽パートナー。
こういう関係で物語が進み、物語の最後にかをりが渡を好きだというのが「嘘」で、実は公生が好きだと言う告白があります。

こうして「嘘」を知り、作品を見直すと、要所要所でかをりの行動や言動が実は公生へのアピールだったと、「嘘」を知ってからもう一度見ると全く違う観点で見られると言うカラクリがこの作品の醍醐味なんですが、

かをりが公生を好きすぎる

しかし実写版では、かをりが渡に気があるように見せる重要なシーンが少なく、フラットな状態から見ても、最初からかをりは公生のことが好きにしか見えず、渡のことも好きだって言ってるし、結果もうただの男たらしにしか見えませんでした。
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かをりと渡の間に公生は入れないと言う大事な描写も、かをりは公生ばかり相手にしていて、
最後の告白も「実は公生を好きだった」というものでは無く「やっと告白できた」というものになってしまっていたのも本当に惜しい。

原作では、公生がかをりと初めて出会うシーンで、ピアニカを強く吹き過ぎちゃったと言い訳しながらも涙を流しているのは、実はやっと公生とちゃんと会うことが出来たという嬉し涙という伏線でもあるのですが、こういう細かい演出が他にも沢山あるのですが、実写版ではことごとく省かれており、この作品の醍醐味である、2度目の美味しさが全く見られませんでした。

椿の恋愛がおまけ

幼馴染みで弟のように思っていた公生に、実は恋心が生まれていたという椿側のラブストーリー。
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公生との幼少期からのエピソードや、椿が部活の憧れのキャプテンと付き合いながらも、公生に惹かれていく自分がいる葛藤など、原作では重要なエピソードとして描かれていましたが、この実写版では、椿の公生への告白への運びはほとんどがオリジナルで、あっけらかんと終わってしまいます。

椿の恋愛に対する子供っぽさや不器用さも、椿の気持ちも全く表現できておらず、ここが一番納得いかないというか、もうちょっと大切に扱って欲しかった部分です。

演奏中に客席での私語が多すぎる

会場で演奏中なのにも関わらず、客席で感想をベラベラと喋りすぎです。
小声ならいいものの、独り言なのに普通の会話のボリュームで。
椿と渡はいいけど、審査員までも、あんなに大声で独り言言われちゃ、周りに迷惑だと、せめて原作通り心の声として演出して欲しかった

気持ちや演奏の表現

かをりの天真爛漫なバイオリン演奏を聴いて揺れ動かされる観客達の気持ちが、実写版では描かれておらず、演奏後にスタンディングオベーションが起きても、あまり情景に重みが無く、凄い演奏だったのかイマイチ伝えられていませんでした。
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どこがどう凄いのかという説明も無ければ、曲が変わるポイントで、キャラクターの力のスイッチの入りもよく分からず、演奏の切り替わりが全体的にふわっとしてしまって、演奏による感動が薄れてしまっているようで残念でした。

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