映画『アメリカン・スナイパー』感想(あらすじ&ネタバレあり)

家に帰ってきたクリスは銃撃戦の幻聴が聞こえるなど、明らかにおかしい状態だった。

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その後、家族ぐるみのパーティーに誘われたクリス一家。
楽しく過ごしていると、クリスの息子にその家の犬がじゃれてきて、押し倒されてしまう。
その場面を見たクリスは犬を押さえつけ、犬を叩きのめそうとする。

咄嗟のタヤの呼ぶ声に我に返ったクリス。

そのまま病院へ。

カウンセリングを受けるクリス。

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その中で色々な人達と出会い、次第にクリスに現れていた異常な症状も克服していく。

そしてクリスの前に現れたある一人の男が。

この作品を観るには

感想とか

真に伝わる戦場の悲惨さ

他の戦争映画であまり見ない、子供を殺すシーンが描かれており、その子供も戦争のために使われているなどと、これが戦争なのかと、争いとは無縁の環境で育った私にはとても印象深く心に残りました。

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また殺された側や殺した側の心情なども濃く描かれており、その辛さが伝わってきてなんとも言えない気持ちになります。
これが実話を元にした作品だと思うとさらに。

伝説のスナイパーが助けると誓った相手ですら、実際の戦場では100%はないという残酷さ。

スナイパーというカッコいい響きを無駄に美化せず、人を殺めるという行為に対する悲惨さと、その結果をより深く描いた、本当に心を打つ内容でした。

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実話を超えた演出

これはある一人の兵士が経験した一つの物語。
しかし、その物語をここまでドラマチックに、その物語も非常にわかりやすく、見る者を飽きさせない内容にまとめたのは流石の成す技だと思いました。

とても難しい内容ではない分、多くの人の心にストレートに響いた結果がこの作品の人気に繋がったのだと思います。

「伝説のヒーロー」と謳われている中でも、そのヒーローの苦悩や格闘、心情まで。
それら全ての表現が、言葉や表情、そして情景に映し出されていました。

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特に銃撃戦の場面では、臨場感のある映像に緊迫感と、手に汗握るとはまさにこの事かと思うぐらいに、見ていて力が入ってしまいました。
その分、この作品を見た多くの人は見た後に良い意味で「疲れた」と思うでしょう。

臨場感については、見て頂ければ分かると思いますが、銃を構える兵士から、大きな戦車などの一つ一つを撮るカメラのアングルなど、計算し尽くされたかのように綺麗に撮られていて、このカットの撮り方はこうだよと基本定義になっても良いと思うほど一つ一つのカットに見応えがありました。

ただ唯一残念だったのが、一部赤ん坊を抱いて夫婦で話し合うシーンで、明らかにどう見ても赤ん坊が人形だったのは、それまでリアリティな演出が続いていた分、いきなりの人形で だいぶチープに見えてしまいました。

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細かな演技

この映画のリアティーさを上げてる大きな原因が、素晴らしい役者の方々の演技。

特に被弾した後の目の動きや身体の硬直の仕方など、本当に細かく演技されていて、それが演技なのに痛々しく、ゾッとするほど。
画面の端っこの小さく映る役者一人一人にも、「そんな演技誰も注目してないって!」と思うぐらいまで細かな動きが指導されていて、感心しました。

エンディングに込められたもの

最近ニュースにもなっているので知ってる方も多いかと思いますが、この作品の主人公であるクリス・カイルはその後、自らが進んだ新たな道で 残忍な事件によって命を落としました。

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突然のクリスの死で、一時この作品の製作が中断した後に、クリスの妻であるタヤが子供達に父親の記憶を残したいと、制作を続けてくれと。

本編が終わると同時に、クリス・カイルが死去した当時のアメリカの実際の映像が無音の中淡々と流れます。

これはクリント・イーストウッド監督が、クリス・カイル本人に向けた黙祷であり、この作品への感謝の意味も込められているのだとか。

このエンディングに黙祷の意味が込められているのだと知ったときに、この作品が作られた意味が少し分かったような気がしました。

伝記

この作品を観るには

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