セッション とは

(原題:Whiplash)
日本公開日:2015年4月17日
世界的なジャズドラマーを目指す青年と、音楽学校の中でも一目置かれている熱血教師のサクセスストーリー。
オススメポイント
一人で見る:
友達と見る:
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家族と見る:
お子様と見る:
熱血スポ根が好きな人はハマると思います。
ここで書くのも面倒になるほど多くの映画賞を受賞し、第87回アカデミー賞では計3部門の賞を受賞。 監督はデイミアン・チャゼル。 マイルズ・テラーを主演に、 言わずと知れた名俳優、J・K・シモンズが熱い演技を披露しています。
予告編
これより下記にはネタバレが含まれます
※これ以降は筆者の感想と共に作品の内容に深く関係する記述が多く含まれます。またこれは筆者の私見であり、矛盾や間違い等がある場合があります。それら全て含め、予めご了承頂いた上でご覧下さい。
あらすじ(ネタバレ)
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ある音楽学校の教室で一人、無心でドラムを叩きまくる青年 アンドリュー。
すると目の前に一人の男性が。
男性は音楽学校の中でも一目置かれている指導者で指揮者のテレンス。
テレンスに気付いたアンドリューはすぐに演奏を止めるが、テレンスは演奏を続けろと。
動揺するアンドリューに、テレンスは「君の演奏を見せろ」と。
アンドリューは戸惑いながらも、持てる技術を惜しげも無く披露する。
と、演奏するアンドリューが顔を上げると、既にそこにテレンスの姿はなかった。
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アンドリューはジャズの偉大なるドラマー バディ・リッチに憧れ、シャッファー音楽学校に通う1年生。
テレンスが自分のクラスの新しいドラマーを探していることを知っていた矢先の出来事で、テレンスに気に入られなかったことを悔やんでいた。
翌日。
学校では既にテレンスとの出来事が噂になり、みんなに慰められるアンドリュー。
その後、アンドリューはいつものクラスで演奏をしていると、突然教室の扉が開き、テレンスが堂々と入ってくる。
驚く生徒達に脇目も振らず、教壇に立って次々と各奏者に指定したパートの演奏を指示していっては、すぐに止め、ダメ出しやアドバイスを淡々と言っていく。
そしてドラムの番。
先にメインのドラマー ライアンが演奏。すこし聞いたテレンスは止め、そして控えのアンドリューも。
しかしすぐに演奏は止められる。
そしてテレンスは一言「ドラムは私と一緒に」
と、ライアンが立ち上がるが、テレンスは「君じゃない。もう一人のドラムだ」と。
聞いた誰もが驚きを隠せず、アンドリュー自身も驚きと嬉しさが抑えられなかった。
こうして明日の朝からテレンスのクラスで演奏できることになった。
その夜。
アンドリューはいつも父親と行っていた映画館の売店の前に居た。
売店の女の子ニコルにいつも思いを寄せていたアンドリューは思いきってデートの約束を。
ニコルに少しからかわれながらも、OKを貰って有頂天。
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そして翌日。
アンドリューはテレンスの教室に居た。
その後他の生徒達も教室にやってきて、メインのドラマー カールと一言交わす。
そして時間になると、今まで自分が居たクラスとは比べものにならないぐらいの緊張感に包まれ、
その空気の中テレンスが教室の扉を勢いよく開けて入ってくる。
そして静寂の中、テレンスの指揮によって演奏が始まる。
しかしすぐに演奏は止められ、テレンスの指摘が入る。
何度も何度も演奏してはテレンスの止めが入り、そのたびに誰々のどこがダメだという指摘を的確に指示していく。
そして重大なミスを犯した者はクラスから追い出される。
その現場を目の当たりにしたアンドリューは怖じ気づくが、休憩の間 テレンスに呼び止められ雑談。
アンドリューの家族のことや、モダン・ジャズの専任者チャーリー・パーカーが仲間にシンバルを投げてでも有ることを成し遂げた事について話す。
テレンスとの会話でテレンスに少し心を開いたアンドリュー。
そして休憩が開けて、次はアンドリューがドラムを演奏することに。
テレンスの指揮で演奏が始まり、しばらくすると演奏を止め、アンドリューに「テンポが速い」と。
そして「今度はテンポが遅い」「今度は速い」の繰り返し。
何度も何度も、テレンスのアドバイスが入っては、テレンスの言うテンポに合わせられないアンドリュー。
そしてついにアンドリューにテレンスの撃墜が下る。
アンドリューに向かって投げられたイスはアンドリューの後ろの壁にぶつかり、「何故イスを投げたかわかるか?」との問いに「わかりません」と言うアンドリュー。
そしてさっきとはまるで違う強ばった形相でアンドリューに近寄り、テンポの指示をする。
が、そのテンポが理解出来ないアンドリューは何度も失敗していまう。
失敗する度にテレンスの怒りは大きくなり、「私のテンポに合わせろ!」罵声を浴びせる。
「今のは早かったのか?遅かったのか?答えろ!」との問いにも答えられず、ついには泣き出してしまうアンドリュー。
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そんなアンドリューを見て呆れるテレンスは、さらに追い打ちを掛けるように、アンドリューの悪口に加えて休憩中に雑談していたアンドリューの家族までもの悪口を浴びせる。
そして奏者はカールに変わり、この日の授業は終わり。
自宅に帰ったアンドリューは落ち込み、ため息をつくが、憧れのバディ・リッチのCDを見てスティックを取り、失敗した学教の楽譜をコピーして一人練習に励むことに。
ドラムスティックを持つ手は血でにじみ、しかしそれでも演奏を続け、何枚も重ねて貼った絆創膏でも出欠を抑えきれないほどに、何度も何度も練習を重ねる。
そんな合間にもニコルとデートを重ね、ついには付き合うことに。
そして発表会の日。
生徒達は控え室でそれぞれ練習をしたり楽器の手入れをしたりと慌ただしい。
そんな中、アンドリューがふと廊下を見るとテレンスの姿が。
テレンスは知り合いと話している様子で知り合いの子供に接する態度が、いつもの鬼のテレンスとは180度違う優しさ溢れるテレンスの別の顔を見てにやけるアンドリュー。
その後、控え室にやってきたテレンスはさっきの優しさとは全く違ったいつものドSテレンスで汚い言葉を浴びせ、生徒達に緊張感を植え付ける。
そして一回目の演奏が終わり、休憩中。
カールが席を外す間、アンドリューに楽譜を持っていてくれと。
そしてアンドリューがほんの数秒目を離した時に楽譜を紛失してしまう。
そしてテレンスに事情を話すことに。
アンドリューに責任転嫁しようとするカールに楽譜のなくしたのは自分の責任だと言うテレンス。
しかしカールは楽譜を見なければ演奏できない。
呆れるテレンスに、アンドリューが「僕なら楽譜を見ないでも演奏できます」と。
「期待を裏切るなよ」と念を押されステージへ。
そして何とか演奏をこなし、その日のステージを終える。
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後日。
授業前に、クラスの異様な雰囲気に戸惑うアンドリュー。
「俺の楽譜に触るな」と、皆アンドリューを厄介払い。
後からやってきたカールも「俺のドラムに触るな」と。
そこにテレンスがやってくる。
いつものように練習が始まると思いきや、テレンスがカールに「それは代役の為のドラムじゃない」とカールをイスから下ろし「アンドリューの譜めくりも忘れるな」と練習が始まる。
その後、休日に実家に帰ることになったアンドリュー。
バスに乗り、久々の家での食事。
が、話が始まればアンドリューの事よりも他の子供達の活躍を喜ぶ家族。
それだけでは無く、音楽について良く思っていない叔父さんから厳しいことも言われ、ついには席を立つアンドリュー。
そして学校での授業後。
テレンスに呼び止められ、そこに教室に前のクラスでメインのドラムを叩いていたライアンが。
そこで二人に演奏を競わせるテレンス。
先に演奏したアンドリューだが、早々に止められ「私のテンポでは無い」と。
次にライアンが演奏し、見事だと。
しかしその評価に納得できないアンドリューはテレンスに強く当たるが、さらに強い言葉で押さえ込まれてしまう。
そのことで焦ったアンドリューはニコルに、練習に没頭したい、君が邪魔だと別れ、再び血がにじむ練習に没頭。


そして授業開始と同時に部屋に入ってきたテレンスは、生徒達の前にもかかわらず目に涙を浮かべ話し出す。
それはテレンスが手塩に掛けて面倒を見てきた卒業生のショーンが昨日亡くなったと。
そんな素晴らしい演奏者が居たことをこのクラスの全員に知っておいて貰いたいと、ショーンが演奏したCDを流しながら、またテレンスも涙を流す。
そして、気を取り直してクラスの練習を始める。
テレンスも気を引き締め、指揮を執る。
が、ライアンの演奏にしっくりこないテレンスは再びアンドリューに。
しかしアンドリューもテレンスの理想に答えられず、テレンスはそんな二人に怒りをぶつける。
そして「これは徹夜になる」と他の奏者を廊下に出し、アンドリュー、ライアン、カールの3人とテレンスの4人だけの部屋で何度も何度も交代しては細かい演奏を繰り返す。
テレンスの理想に応えようと3人とも精一杯、汗でびしょびしょになり、握力も限界を迎えるほど激しく演奏するもテレンスは納得せず、3人に汚い言葉を浴びせ、全然ダメだと。

そして3時間ぶっ通しで続いた競争も、最後に力を出し切ったアンドリューが何とかドラムのイスを勝ち取った。
その後全体での練習があり、練習が終わったのは真夜中。
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翌日は演奏会。
遅刻は厳禁だと、アンドリューはバスに乗り会場に向かっていた。
がしかし、途中でバスのタイヤがパンクしてしまう。
タクシーを探すも、見つからず、仕方無く走って見つけたレンタカー屋で車をレンタル。
スマホの地図で会場まで走り、ギリギリ間に合うも、練習に参加出来なかったアンドリューは外されていた。
が、納得いかないアンドリューは、テレンスに直談判するが、聞き入れてくれない。
さらにスティックをレンタカー屋に忘れてしまったことに気付き、嘘をついて車に置いてきたから5分で戻ると。
しかし聞き入れてくれないテレンスに、ついにキレたアンドリュー。
アンドリューの言い分にもキレ返すテレンスだが、10分で戻らなければお前の席はないと。
そしてアンドリューは再び車を飛ばしレンタカー屋へ。
スティックを取り、再び会場へ行くも、道中で仲間からかかってきた電話でもう間に合わないと。
「今向かってる!」と叫んだ瞬間、アンドリューの車と大型トラックが衝突。
ひっくり返る車の中から這い出たアンドリューはトラックの運転手の制止も聞かず走って会場へ。
会場に着いたアンドリューはそのままステージへ。
血だらけのアンドリューに驚く仲間達とテレンスだが、すぐに幕が上がり演奏が始まる。
ドラムを叩くアンドリューだが、スティックを持つ手は事故で血まみれ。
ついにはスティックを落としてしまい、拾うのもやっとな状況。
そしてテレンスは仕方無く演奏を止め、観客に謝り、アンドリューの前へ。
「私の前から消えろ」と。
その言葉を聞いたアンドリューは怒り狂い、ステージ上、観客の見る前でテレンスに飛びかかり、「ふざけるな!」と馬乗りに、すぐに仲間が羽交い締めにし、ステージの奥へアンドリューを除ける。
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それから数日後。
アンドリューは弁護士?と父親とのテーブルの席に居た。
そこで、テレンスの教え子ショーンの死因が自殺だったと知り、ショーンの異変はテレンスの指導があった直後から始まっていたと。
アンドリューが 何を知りたい? と聞くと、テレンスが生徒に対して体罰を行っていたかの証言が欲しいと。
テレンスからされた事を言えばテレンスを告発できる。もちろんその告発者がアンドリューだと言うことは秘密にされる。
そしてアンドリューは口を開く。
それからしばらく経ち。
アンドリューは学校を辞め、新しい部屋に引っ越した。
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そんなある日、夜街中を歩いていると、1つのバーの前の黒板に目をとめる。
そこには大きく”ジャズライブ”の文字と”テレンス”の名が。
恐る恐る店内に入ると、ピアノを演奏するテレンスの姿が。
その優しい演奏に聞き入るアンドリュー。
と、演奏が終わり、テレンスが周りを見渡しアンドリューが居る事に気付く。
目が合って焦るアンドリューはすぐに帰ろうとするが、テレンスに呼び止められ、二人で飲むことに。
そこで、ショーンの事で訴訟され、指揮が振れなくなったことと、学校では偉大なミュージシャンを育てることに全力を費やし、
そのために生徒を殴ることは、必要なことだったと。
自分のしたことに後悔はしていない。
チャーリー・パーカーの様になりたいと努力もした。
と、週末にテレンスが音楽祭でステージに立つと。
そこでドラマーを探しているとアンドリューに話を持ちかける。
曲は何度も学校で練習した曲だから大丈夫だと。
カールが居るというアンドリューに。カールは医学部に転校してしまった。
ライアンが居ると言うと。彼は君への刺激だ。と。
帰宅してすぐにアンドリューは携帯からニコルへ電話をする。
週末に演奏するから来て欲しいと。
少し渋るニコルが「彼氏に聞いてみないと…」と言った言葉に動揺し、放心するアンドリュー。
行けるか行けないかちゃんとした返事も貰えず電話を切る。
それからアンドリューはテレンスに飛びかかった日以来しまい込んでいたドラムセットを物置から出してきて、短い日でも精一杯練習を重ねた。
そして音楽祭当日。
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父親も駆けつけてくれ、気合いの入るアンドリュー。
その後テレンスが
今日は沢山のスカウトが来ている。人生が変わる日になるかも知れん。と。
「楽しんでこい!」との言葉にステージに立つアンドリュー。
そしてステージにやってきたテレンスはまずアンドリューに一言
「密告したのは君だろ?」と。
えっ。と呆然となるアンドリュー。
そしてそのままテレンスが観客に挨拶をして、指揮を執り いざ演奏開始。
すると、その曲はアンドリューが聞かされていたものとは違った全く知らない曲だった。
訳も分からず、雰囲気でドラムを叩くアンドリューだが、他の奏者から「なにをしてる?」と言われる始末。
そしてテレンスが演奏を止め、アンドリューの前へゆっくり歩いて行き
「ああ、君は楽譜がなかったな」と一言。
それを聞いたアンドリューはたまらずステージ脇へ。
テレンスは平気な顔で観客に冗談交じりで謝る。
客席からすぐにステージ脇に駆けつけた父親が「家に帰ろう」とアンドリューを抱きしめる。
悲痛な面持ちで父親に抱きつくアンドリュー。
そしてこの後アンドリューが取った行動とは。
テレンスとの最終決戦はいかに。
この作品を観るには
感想とか
音楽の殴り合い
まず、この作品は演奏を楽しむものでは無く、
奏者と指導者の葛藤と戦いを描いた根性スパルタ映画だということ。
今の時代、体罰だ!と言われて当然の熱血非道教師と、

理想を追いかけ 負けるもんか!と屈せず立ち向かう青年の熱いバトル。

そして教師の理想に近づこうと必死に戦った結果、青年はその教師に見放され。
ついには青年が教師の体罰を密告。
その末に、それに対して教師が生徒に、大舞台での仕返し。
という最終的にはサスペンスかと思うぐらいゾッとする展開に私の目と耳は釘付けでした。
そのゾッとする展開も映画の一番最後、エンドロールに入るほんの数秒前に全てを解き放つかのように2人の終着点を持ってくる素晴らしい構成。
そのほんの数秒で、この映画が一瞬で素晴らしい作品へと花開く感動は見ていて凄く気持ちが良いです。

それが体罰を美化して描かれているのではなく、体罰も否定した上で結果、こういう花の咲き方もあるのかも知れないよと言う素敵なストーリーでした。
映像に見るジャズ
この映画の音楽の基本はジャズ。
そのスクリーン映像も、どことなく懐かしく、柔らかい暖色セピア寄りの色合いで、なんとなくジャズっぽい、優しい映像にとてもリラックスした気分で見ることができ、

また、別のシーンでは躍動し、カメラワークも俊敏に緊迫感ある激しい映像にのめり込むことが出来ました。

演奏と音のズレ
演技をする役者と、実際流れている演奏の音が所々ズレてしまっているのが非常に残念でした。
完璧な演奏をしろとまでは思いませんが、せめて合わせるぐらいの努力は欲しかったかなぁと。
恋愛話
主人公の恋愛ストーリーが少しだけあるんですが、あれがどんな意図で挟まれていたのか最終的にわからず。
最後、恋人を見返すために演奏会に呼んで、そこで仕返しされて一番の苦痛を味わうのかと思いきや、恋人には新しい彼氏が居るという「まぁあんな別れ方したし、時間経ってるんだから当たり前だよね」って結果に。
最後の最後で全てを丸めてくるなら、もうちょっと恋人のストーリーも意味あるものに絡ませて欲しかった。
恋人を突き放すぐらいストイックだったというだけを表現するためにこのラブストーリーを入れたなら、正直そんなに必要なかったと思いました。

鬼教師
しかし流石のJ・K・シモンズでした。
怒らせたら右に出る者は居ないと言う様に、その怒号の迫力は天下一品。

熱血体罰教師も見事に様になっていました。
その容姿からあふれ出るカリスマ性も流石の貫禄。
もう真顔でも顔のシワだけで怖い。

そしてメリッサ・ブノワはかわいい。

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