そしてそのままテレンスが観客に挨拶をして、指揮を執り いざ演奏開始。
すると、その曲はアンドリューが聞かされていたものとは違った全く知らない曲だった。
訳も分からず、雰囲気でドラムを叩くアンドリューだが、他の奏者から「なにをしてる?」と言われる始末。
そしてテレンスが演奏を止め、アンドリューの前へゆっくり歩いて行き
「ああ、君は楽譜がなかったな」と一言。
それを聞いたアンドリューはたまらずステージ脇へ。
テレンスは平気な顔で観客に冗談交じりで謝る。
客席からすぐにステージ脇に駆けつけた父親が「家に帰ろう」とアンドリューを抱きしめる。
悲痛な面持ちで父親に抱きつくアンドリュー。
そしてこの後アンドリューが取った行動とは。
テレンスとの最終決戦はいかに。
この作品を観るには
感想とか
音楽の殴り合い
まず、この作品は演奏を楽しむものでは無く、
奏者と指導者の葛藤と戦いを描いた根性スパルタ映画だということ。
今の時代、体罰だ!と言われて当然の熱血非道教師と、
理想を追いかけ 負けるもんか!と屈せず立ち向かう青年の熱いバトル。
そして教師の理想に近づこうと必死に戦った結果、青年はその教師に見放され。
ついには青年が教師の体罰を密告。
その末に、それに対して教師が生徒に、大舞台での仕返し。
という最終的にはサスペンスかと思うぐらいゾッとする展開に私の目と耳は釘付けでした。
そのゾッとする展開も映画の一番最後、エンドロールに入るほんの数秒前に全てを解き放つかのように2人の終着点を持ってくる素晴らしい構成。
そのほんの数秒で、この映画が一瞬で素晴らしい作品へと花開く感動は見ていて凄く気持ちが良いです。
それが体罰を美化して描かれているのではなく、体罰も否定した上で結果、こういう花の咲き方もあるのかも知れないよと言う素敵なストーリーでした。
映像に見るジャズ
この映画の音楽の基本はジャズ。
そのスクリーン映像も、どことなく懐かしく、柔らかい暖色セピア寄りの色合いで、なんとなくジャズっぽい、優しい映像にとてもリラックスした気分で見ることができ、
また、別のシーンでは躍動し、カメラワークも俊敏に緊迫感ある激しい映像にのめり込むことが出来ました。
演奏と音のズレ
演技をする役者と、実際流れている演奏の音が所々ズレてしまっているのが非常に残念でした。
完璧な演奏をしろとまでは思いませんが、せめて合わせるぐらいの努力は欲しかったかなぁと。
恋愛話
主人公の恋愛ストーリーが少しだけあるんですが、あれがどんな意図で挟まれていたのか最終的にわからず。
最後、恋人を見返すために演奏会に呼んで、そこで仕返しされて一番の苦痛を味わうのかと思いきや、恋人には新しい彼氏が居るという「まぁあんな別れ方したし、時間経ってるんだから当たり前だよね」って結果に。
最後の最後で全てを丸めてくるなら、もうちょっと恋人のストーリーも意味あるものに絡ませて欲しかった。
恋人を突き放すぐらいストイックだったというだけを表現するためにこのラブストーリーを入れたなら、正直そんなに必要なかったと思いました。
鬼教師
しかし流石のJ・K・シモンズでした。
怒らせたら右に出る者は居ないと言う様に、その怒号の迫力は天下一品。
熱血体罰教師も見事に様になっていました。
その容姿からあふれ出るカリスマ性も流石の貫禄。
もう真顔でも顔のシワだけで怖い。
そしてメリッサ・ブノワはかわいい。