映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』感想(ネタバレ&あらすじ有り)

そこでパイは休戦中に小舟を改良。
魚の漁をすることに。
なんとか捕まえた魚をトラに与える。

そしてまた数日後、パイたちの元に大量のトビウオの群れが襲来。
ボートに大量の魚が打ち上がる。

そこに紛れて飛んできた一匹のマグロ。
トラを威嚇しつつ、マグロをゲット。
マグロをエサにトラを餌付けし、コミュニケーションをはかれるようになった。

そんな中、突然の嵐に見舞われ、パイの作った小舟が流されてしまう。

嵐で衰弱したトラを抱え込むパイ。
天に最後の別れを言い、気を失うパイ。

そしてパイが目覚めた時、ボートは海上にたたずむ島に漂着していた。
船にトラはおらず、パイも島に上がることに。

そこには大量のミーヤキャットと飲める水などがあった楽園だった。
トラもそこに居たミーヤキャットなどを食べ、難を逃れることに。

パイはそこに寝床を作り、そこで一生暮らそうとしていた。

そんな夜中、パイが目を覚ますと、そこには楽園とも言えぬ、昼間は飲めた水が酸に変わっており、島の華を見ると人間の歯が。

島は動物を食べて起きていると知ったパイ。
ボートに大量の食料を積み、トラと共に島を出ることに。

そしてさらに何日が経ったか。
目の前にはメキシコの沿岸。

砂浜に倒れるパイ。
かろうじて目をあけるとトラは目の前のジャングルへ向かっていった。

すぐに何人かの人に見つけられ、子供のようになきじゃくるパイ。
それは助かったことより、分かち合い、友達になれたと思っていたトラに最後に助けてもらえなかったことに。

その後、療養中のパイの元に2人の日本人が訪れ、事件の報告書を作りに来た。

パイはあった事を話すが、そんな報告書は作れないと。
話のつじつまが合わない。そんな島はあり得ないと言う二人。

そこでパイは報告書に書けるように、もう一つの物語を話し出した。
それは前の物語より現実的であり、非常に悲しい内容の物語を。
船の沈没後、動物は出てこず、救命ボートの上での人間同士の悲惨なものだった。

その内容に納得した二人はその後パイによくしてくれ、去っていた。

そして現代へ戻る。
パイはその話をずっと聞いていたカナダ人のライターに一つの質問を。

二つの物語を話したが、この話を証明できる人は他に誰も居ない。
君が私なら二つの物語のどっちを選ぶ?と。

カナダ人のライターは、トラとの話を選ぶ。

その後パイは次回作に悩んでいたライターにこの話を提供する。

そしてエンディング。

この作品を観るには

感想とか

最後のどんでん返し

最後の最後で、「え!?作り話だったの!?」と結末を観客に託す終わり方でしたが、そんなどんでん返しも許せてしまうほど、魅力的なフィクションでした。
特に漂流中のシーンは数々の見せ方をしてくれて飽きずに見られたのが良かったです。

限られた食料。
それが尽きる前に次の行動に移っておく。
一人きりでの精神の持ち方。
異色の同乗者との付き合い方。
など、生きる術、精神の格闘、トラとの共存。
全てにおいて、パイの選択を期待と不安の狭間で見ることができると思います。

動物たちのリアルな表現

演出ではやはりVFXが素晴らしい。

トラのCGは本当に素晴らしい出来で、合成と思うぐらいリアルに表現されています。

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リズム&ヒューズ・スタジオと言うVFXで数ある功績を残している会社が携わっており、トラを含む動物のVFX(CG)が素晴らしく、もはや本物顔負けの出来上がりで、CGだと一切疑わずに見ることができると思います。
あの「ナルニア国物語」での動物たちを作り上げた会社なので、あの動物たちを思い浮かべればそのクオリティもよく分かると思います。

後半で出てくるミーアキャットの群れも、あれ全部CGで処理してると考えると、その作業・・・素晴らしい仕事です。

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そして沈む船、光る海など光の使い方がとても綺麗でした。
冒頭で主人公のパイが宇宙に魅せられる話があるんですが、それを彷彿とさせる描写もたくさんありました。

海や池を宇宙に見立て、幻想的で綺麗でした。
言うなればアバターのあれのような。

美しい3D描写

そして3D効果がなかなか生きていたと思います。
飛び出し加減はそれほどでしたが、あたかもパイと共に漂流してる気持ちになれる効果は少なからずあったと思います。

海のリアルで綺麗な場面、暗くて恐ろしい場面、色々な描写が見られて、見る点でも楽しめると思います。

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冒頭の動物たちや、水中で船が沈没するシーン、漂流中にトビウオが大量に迫ってくるシーンなど、3Dに特化したシーンも数多くありました。
これは是非IMAX3Dで見ることをオススメします。

真実は何なのか

ラストで、トラがパイの方を見ずに去って行くシーンは、二つ目の物語で語った人の肉を食べてしまったパイ(トラ)が救出されたことによって、その本能から解かれた意味を表しているのかもしれません。
トラは森の中へ消えてゆくのではなく、急に消えたのもこれを意味しているのかも知れません。
振り返らずに前を向けというメッセージも含まれていたのか。

また、パイが話したトラとの漂流記の物語は療養中に現実の出来事を受け入れるまでのパイ自身の気持ちの格闘から生まれた物語なのかも知れません。
ここについては、どちらが本当の話か断言できませんが、私はこう思いました。

この映画を見終わって、あなたならこの夢のような話と現実的な話のどちらが真実だと思うか。
またはあなたならどちらを選ぶか。
そう問われているような気がする、見た人によって、その答えは変わる結末でした。

100人が見たら100通りの解釈が生まれるストーリーだと思います。

こんな記事書いておいて言うのは元も子もないですが、特にこの映画の見方は「作り話」と言う概念を捨てて見ることがポイントです。

美しい映像アートとファンタジー溢れるストーリー。
澄んだ心で見ることができました。

この作品を観るには

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