イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち とは

(原題:In Your Eyes)
日本公開日:2015年5月31日
幼い頃から知らない誰かの感覚を感じていた男女二人が、大人になったある日突然テレパシーと言う不思議な力で繋がる。
二人は遠距離に居ながらもテレパシーを通じてお互いを理解し合い、次第に夫を持つ女に惹かれていく男。そしてついに二人の気持ちが走り出す。
オススメポイント
一人で見る:
友達と見る:
デートで見る:
家族と見る:
お子様と見る:
後先考えずに突き進む少女漫画な恋愛を楽しみたい方にはお勧め。気持ち真っ直ぐに突き進む恋愛映画ですが、真相は不倫映画です。テレパシーという付加価値が見事に生きていて、ただの恋愛映画には無い面白さがありました。濃密なベッドシーンと濃厚なキスシーンがあるので、初めてのデートには向かないかも。
「トイ・ストーリー」や「アベンジャーズ」シリーズを手がけてきたジョス・ウェドンが監督。マイケル・スタール=デビッドとタッグを組むゾーイ・カザンのダブル主演。
予告編
これより下記にはネタバレが含まれます
※これ以降は筆者の感想と共に作品の内容に深く関係する記述が多く含まれます。またこれは筆者の私見であり、矛盾や間違い等がある場合があります。それら全て含め、予めご了承頂いた上でご覧下さい。
あらすじ(ネタバレ)
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メキシコの荒野で暮らす男性、ディラン。
ディランは仲間と共に盗みを働き、2年間刑務所で暮らした前科持ちで、仮釈放の保護観察中。
この日も保護監察官がディランの家に視察に。
ディランは車の整備工場で働くが、新米のディランに任されるのは洗車のみ。
アメリカのニューハンプシャー州で暮らす女性、レベッカ。
レベッカは裕福な家庭で育ち、医者のフィリップと結婚。
この日はフィリップの友人達とディナーの予定が。
あまり気が進まないレベッカだが、フィリップの顔もあるしと行くことに。
その夜、ディランは行きつけのバーで一人お酒を飲んでいた。
と、その際、酔っ払いに言いがかりを付けられ、殴られてしまうディラン。
一方、レベッカはディナーでフィリップの友人等の奥様方と当たり障り無く会話をしていた。
と、急にレベッカが何かに殴られたように倒れてしまう。
何事かと忽然する友人等。
その帰りの車で、何かの病気かと心配するフィリップに、大丈夫だというレベッカ。
その頃ディランは酔った気分で歩いて家に帰ることに。
翌朝。
ディランが目覚めると、既に仕事に出掛けなければいけない時間に。
慌てて家を飛び出すが、そこに車は無い。
走ってバーまで車を取りに行き、そのまま職場へ急行。
一方、レベッカはランジェリーショップへ。
レベッカが色々ランジェリーを物色していると、なにやら変な光景がチラチラ見えるように。
すると目の前に車が。
驚き騒ぐレベッカ。
そのレベッカの驚き様に、驚く店員。
もちろんランジェリーショップに走っている車など存在しない。
すると今度は変な男性の声が聞こえる。
なにがなんだか分からないレベッカは店を飛び出し、路地で座り込み、ひらすら混乱。
その頃、ディランも同じように、目の前にはランジェリーが見えたり、変な女性の声が聞こえたりと。
脇道に車を駐めて、聞こえる声と会話しようとするディラン。
声の相手はレベッカ。
お互いに混乱しつつも、相手が人間であること。
それぞれメキシコとニューハンプシャーに居る事。同じ時間を過ごしていることを確認。
会話は容易に、集中すれば相手が見ている視界が見え、相手の寒さや手で触った感触まで伝わる。
しかし心の中までは読めず、相手の意識を拒否すれば、繋がりを完全に遮断することも可能。
など色々お互いに無理矢理理解をしていく。
そして再び夜に会話をしようと約束し、ディランは職場へ。
[mix1]
その夜。
レベッカはフィリップがテレビを見ている隙を見て、書斎でディランと交信。
お互いの今の生活状況や、レベッカの夫もレベッカの視界を通して紹介。
その交信は翌日も続き、ディランがバーで殴られた際にレベッカにも伝わったという事を開かすとディランが何か思い出したように語り出す。
それはディランがまだ小学生だった頃。
授業中に、突然視界が雪積もる林の中になり、滑走するソリに乗って木にぶつかり、ディランは気を失ったと。
それを聞いたレベッカは、幼い頃にまさにその体験をしたと言う。
それ以外にもレベッカの心情が色々伝わっていたことを思い出すようにしゃべり出すディラン。
それも全てレベッカには思い当たる節があり、レベッカが失恋したこと、レベッカが母親を亡くしたことなど、ディランも同じように気持ちが沈んだと。
一方でレベッカも、言われてみれば自分もそんな感じを体感していたが、生理の前兆か何かだと思って気にしていなかったと。
しかし母親が死んでしまったときも、近くに誰かが居てくれているような気がして、いつも勇気づけられていたというレベッカ。
その中でレベッカは、ディランが刑務所に居たことも、悪夢だと思っていたが、覚えており、そこでディランが前科持ちだと言う事も告白する。
するとディランが、まだお互いの姿を見ていないと言いだし、鏡の前に立ってくれと要求。
恥ずかしがるレベッカだが、そこで初めてお互いの姿を見る二人。


ディランがレベッカを見た感想は、とても美しい。
レベッカがディランを見た感想は、可愛らしい。
その感想にがっくりするディラン。
その後も、毎日毎日、二人は交信し、街に出ていてもどこに居ても交信。
周りの目を気にしていたが、二人が独り言を言っているように見える様は少し不気味で、その独り言に気付く人もチラホラ。
しかしそんな事は気にせず、経験したことやお互いの事を話し合い、いつの間にか何でも話し合える仲に。
そんな中、ディランの家にかつての犯罪仲間が。
ディランに計画中の犯行への参加を要求。
あまり乗り気では無いディランは、なんとなく返事をして仲間を帰す。
一方レベッカは、フィリップの働く病院へ。
そこで精神疾患を研究しているメイナード博士と出会う。
と、メイナード博士はフィリップと接するレベッカを見て、フィリップに 彼女は何かを隠している と助言する。
その夜、ディランはいつものバーでドナと言う女性と飲むことに。
ドナもバーの常連で、ディランは前から密かに片思いをしていた。
と、交信でドナを見たレベッカは、ディランに押せ押せと恋のキューピッドになろうとサポート。


ディランも酒の勢いとレベッカに押され、ドナに自宅で料理を作るから来ないか?とドナを誘うことに成功。
喜ぶディランだが、ドナとの予定の日はフィリップの仕事の縁談のディナーに行く予定でガッカリするレベッカ。
[mix1]
そして約束の日。
ディランは張り切って準備。
ドナが食べたいと言っていたステーキも、外に用意したBBQコンロで焼きつつ、家の中でステーキ用のソースを作り、ドナを待っていた。
一方、レベッカは食事の席に居たが、ディランのことが気になりトイレへ行って交信。
ディランの作ったソースの臭いが悪いと忠告。
幸運を祈ると言い、交信を閉じてテーブルに戻るレベッカ。
と、そこにドナが。
慌てるディランは紳士を装い、ドナを迎えるが、色々空回り。
と、ディランが目を離した隙にコンロから火が上がる。
同時にレベッカにもその火のイメージが伝わり、テーブルでパニックを起こし、テーブルの食器を割ってしまう。
何事かと騒然とする周囲の面々。
フィリップが、一度お手洗いで落ち着いてきたら?と、レベッカはトイレへ。
一方、パニック中のディランは、レベッカの声が聞こえたので、すぐにトイレへ。
そこでレベッカと口論。
君のせいだ。私のせいじゃないと。
その現場をドナに見られてしまい、ドナはそのまま帰宅してしまう。
その後、帰宅したレベッカは、フィリップに誤り、熱い夜を過ごす。
事が終わった後、フィリップが寝たのを確認したレベッカはディランと交信。
お互いに冷静になり、誤り合って仲直り。
翌日。
泥酔したレベッカがディランに悩みを打ち明ける。
そして悲しみでうなだれるレベッカに、ディランも自分の辛い過去を告白。
そしてなんだか良い雰囲気になり、ディランがついレベッカに告白を。
それを聞いたレベッカは、ディランに感じるように自分の身体を触り、ディランもレベッカに伝わるように自分の身体を触り、遠距離で熱い行為を交わす。
翌日、ディランは仕事中にも連日のレベッカとの交信で、客から気味悪がられているとの理由で職場を解雇。
その夜、酔いつぶれたディランは、先日、犯行計画を持ち込んできた犯罪仲間とひと悶着。
一方、レベッカも、周りの知人から怪しまれ、一人の友人に強く当たってしまう。
と、その友人がフィリップにレベッカの事を告げ口。
その後、レベッカは昔、雪山で木にぶつかった思い出の場所を訪れ、ディランとの交信で自分の秘めていた過去を語り出す。
それはディランも知らない、レベッカの暗い過去。
そしてレベッカは、もうこの関係を終わりにしようと言い出す。
何故だと言うディランに、あなたが私を愛しているからと言うレベッカ。
もうこの生き方には限界だと、一方的に交信を閉じるレベッカ。
悲しむディラン。
[mix1]
その後、立ち寄ったバーでレベッカの視界が舞い込んでくる。
それはどこかに隔離されようとしている光景。
ディランをそれを見ると、考えるよりも先に行動に出ていた。
持っていた有りっ丈の全財産を握りしめて、飛行機に乗りレベッカの元へ。
そこで待ち受ける新たな弊害。
果たして二人の運命は。


ディランとレベッカは出会うことができるのか。
この作品を観るには
感想とか
不思議な絆
それまで接点のなかった男女二人が、ある日突然テレパシーという不思議な力で繋がる。


離れた場所の相手と会話ができるだけではなく、相手の心情や見ている情景、触れた感触や肌で感じる温度など。
普通では共有できない部分も共有しているので、ただの遠距離恋愛では味わえない付加価値の面白さが目を引き、飽きずに見ることができました。
少女漫画
その交信のやりとりも、どこか思春期を思い出させるように四六時中キャッキャ楽しく会話する二人。


周りからの目を気にして電話をかける振りも、最終的には周りが見えなくなるぐらい交信に夢中になってしまう所は、まさに思春期を思わせる。
王道の恋愛映画と言うより、特殊な設定がある少女漫画を見ているような感覚でした。

交信している相手と会おうという意思表示が無いまま、後半からラストにかけて、相手を求めてただひたすら前だけを向いて突っ走る感じなんてまさに少女漫画さながら。
結果的に、この後がどうなるのかなんて関係無い!と言った具合に走り続けたまま終わるので、少し消化不足というか、この後待ち受ける困難が気になって、完全にスッキリした気分になれなかったのが少し残念でした。
結局 夫は良い奴?
この映画で一番可愛そうな、浮気される夫フィリップ。

元々精神的に障害を持っていた妻に付きっきりで看病し、共に乗り越え結婚。
妻が別の男と浮気後、妻に再び精神的に危ない兆候が現れ、フィリップが妻を精神病院に入れるが、妻はフィリップが浮気を疑って監禁したと思い込み、フィリップが恐怖でしかなくなり、浮気相手と脱走。
その脱走の際に妻から顔面パンチを食らうフィリップ。

全て妻のためを思ってやったことが裏目に出てしまったフィリップ可愛そう。
何より、浮気されるフィリップが最後まで良い奴だったのかも知れないと言う立ち位置なのもどうかと思いました。
妻が精神的に病んでいた際に、フィリップから性行為されたというエピソードも、病んでた上に”多分”というニュアンスだったのも、フィリップを完全な悪役にし損ねている大きな要因。
なので最後までフィリップが悪い夫に成りきれていなかったので、主役二人の恋愛を素直に喜べなかったのが残念。
この映画の本当のテーマは恋愛とは別の、もっと深く暗いテーマなのかも知れません。
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