映画『心が叫びたがってるんだ』感想(ネタバレ&あらすじあり)

学校ではついに2年2組の順番が。
そしてミュージカルは主役とヒロインが代役のまま始まった。

舞台に出てきたヒロイン役で歌い踊る菜月を見て、順の母親は やっぱりダメなんじゃない… とため息。

舞台袖では、順が来ないことにソワソワ居ても立っても居られないみんな。
と、一人が発した 別に成瀬が来ても来なくても、どっちみちやれることは一緒。一番最悪なのは失敗すること。私たちだけでも成功させよう! との言葉に全員が意気込む。

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一方、拓実は順とのキッカケが出来た寺に来ていた。
全然見つからないことに苛立つ拓実は、ふとそこでの出来事を思い出し、 全ての始まりは、城の舞踏会 と丘の城を見て、走り出す。

果たして順を連れ戻すことはできるのか。
そして2年2組のミュージカルに奇蹟は起こるのか。

さらに待ち受ける意外なラストとは。

この作品を観るには

感想とか

若さ故のコンプレックス

メインキャラクター全員が言葉によるコンプレックスを持っている本作。

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思春期だからこそ、純粋に言葉を重く受け止めてしまう。
簡単に人を傷つけてしまう言葉に怯える少年少女に、取り繕った建前の言葉では無く、本音をぶつける大切さを教えてくれる作品でした。

懐かしさ溢れる青春ストーリー

本作は特に青春を忘れた大人に見て欲しい作品です。
クラスで学校行事こなすあの気持ちや、体育館の袖で本番を前に緊張するあの気持ちなど、沢山の青春が思い出され、とてもむずがゆい気持ちにさせられますが、リアルな演出に共感する方も多いかと思います。

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ラストの「えっ!?そことそこがくっつくの?」という展開も、また高校生らしい粋な演出でした。

魅力的なキャラクター

特にこの作品の特徴は、メインキャラクター4人全員が主役とも取れるほど、それぞれに見応えあるスポットが与えられていること。
さらにそれぞれが対比した問題を抱え、お互いに影響されていく様はこの映画の一番の見所だと思います。

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のような幽霊が出てくるSF作品ではなく、序盤に出てくるタマゴにも正体があり、それぞれのキャラクターにきちんと感情移入できるのも重要なポイントでした。

声を奪われた少女

自分の軽はずみな発言が原因で不幸を招いてしまったと思い、口を閉ざしてしまった成瀬順。

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そんな順が、唯一言葉を解放できる方法は歌。

そして沢山の出会いと経験を経て、心に溜めていた言葉をミュージカルという舞台で形にし、自分が今まで言えなかった気持ちを物語として描くことに。
そして、順の勇気に周りも影響されていく。

周りが見えていない野球少年

チームのためを思い、人一倍厳しくチームを鼓舞する野球部の田崎大樹。

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が、それも逆効果で、後輩からはウザい先輩として、思いとは裏腹にチームのお荷物として認識されるように。
自分の意見を上手く言えない田崎は、そんな自分に苛立ち、さらにチームの雰囲気を悪くしてしまう。

そんな中、順が書いたミュージカルの物語に触発された田崎は、自分を見つめ直し、再スタートをするため、精一杯の気持ちを込めて後輩に腹を割って話を切り出す。

密かに後悔を引きずる少女

「あのとき言葉をかけてあげられていたら」そんな後悔を持つ仁藤菜月。

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それから菜月は、全ての事柄に決着を付けずに、何事もうやむやにして逃げてきた。

しかし拓実や順の言動に、このままの自分じゃダメだと思い始める。

本当の自分を隠してる少年

両親の離婚などをキッカケに、自分の気持ちを後回しにするようになった坂上拓実。

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周りへの優しさは自分を守る為。
いつしか自分の意見を無くしていた拓実は、順との出会いで、人に伝えたい気持ちを知り、自分も伝えたいことが沢山有ることに気付く。

あの花とのコラボも

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」と同じ埼玉県秩父市を舞台としている本作。

あの花であなるが良く利用していたハンバーガーショップ「ワクドナルド」が今作でも登場します。
さらにその店内では、あの花のオープニングテーマソング「青の栞」のメロディが流れるなど。

他にもファンをニヤリとさせる登場人物や演出も見られたので、そういった部分を探す楽しみを含ませたスタッフの遊び心は流石でした。

美しい歌と音楽

本作で一番特徴的なシーンである、物語ラストで、全員で合唱する「心が叫びだす~あなたの名前呼ぶよ」の部分で感動した方は多いはず。

プロの声優さんたちの美しい歌声で奏でられる合唱はとても聞き応えがありました

既存のミュージカル音楽を元にした楽曲が多く、「Over The Rainbow」や「Around the World」という、多くの人が一度は聞いたことのある音楽をアレンジしており、スッと耳に入ってくるので、聞いていて気持ちいいです。
また、その歌詞もまた物語の本筋をなぞっており、歌詞をよく聴いていると、登場人物の心情を受け取れるので、またより感動が増します。

合唱も入っているサウンドトラックは必聴です!

この作品を観るには

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