映画『エンダーのゲーム』感想(あらすじ&ネタバレあり)

エンダーのゲームとは

endersgame
エンダーのゲーム
(原題:Ender’s Game)
日本公開日:2013年1月18日

時は未来。昆虫型のエイリアン”フォーミック”との宇宙戦争が巻き起こり、それ以来お互いに にらみ合いが続き50年。
人類はフォーミックの襲撃に警戒をしつつ、人類の存続を願うべく世界中から優れた少年少女達を集め、フォーミックと戦う為の訓練を叩き込んだ。
その中の一人 少年エンダー。
そのエンダーの成長と葛藤を描いたSF映画です。

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脳に付けられたモニターを外す描写や、後頭部を強打して意識を落とすシーンがあるので、人によってはショッキングなシーンかもしれません。

アメリカのSF小説「Ender’s Game」を実写化。 「ヒューゴの不思議な発明(2011)」で一躍有名となったエイサ・バターフィールドを主演に迎え、ポスト役にはハリソン・フォード、ベン・キングズレーなど豪華な顔ぶれが脇を固める。 監督には「ウルヴァリン: X-MEN ZERO(2009)」などを手がけたギャヴィン・フッドを初め、数々のSF大作を手がけてきたロベルト・オーチーとアレックス・カーツマンなどが製作を勤める。 2003年から製作準備が開始され、約10年をかけてやっとの完成となりました。

話がスルスルと進んでいくので、じっくり映画を楽しむ人はちょっとついて行けないかも。
原作があることを映画を観た後に知ったのですが、一応内容は部分的ですが理解できました。
ただし観ていて所々不明な部分や不可解な場面があったので、その辺は原作の内容を多少拾いきれていなかったのかも知れない。
原作がどう描かれているか分かりませんが、観た後にもスッキリしない部分が多いです。

予告編

これより下記にはネタバレが含まれます

※これ以降は筆者の感想と共に作品の内容に深く関係する記述が多く含まれます。またこれは筆者の私見であり、矛盾や間違い等がある場合があります。それら全て含め、予めご了承頂いた上でご覧下さい。

あらすじ(ネタバレ)

時は遠い未来 西暦2086年。

突如地球侵略にやってきた昆虫型の異星人”フォーミック”。

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そのフォーミックにより多くの人類が犠牲となる中、唯一フォーミックに大打撃を与えた英雄メイザー・ラッカム。

彼の健闘から50年間、人類とフォーミックはにらみ合いを続け冷戦状態が続いていた。

人類はフォーミックからの脅威に対抗するべく、大人よりも複雑な難題を柔軟に解析できる能力を持った若者に人類の未来を任せることにした。

そんな若者の中の一人、アンドリュー・エンダー・ウィッギン。

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エンダーはフォーミックに対抗訓練するために作られた防衛軍ベースキャンプのバトルスクールへの入門適正をテストされる施設に居た。

その日、エンダーは同じ施設の少年達から執拗な嫌がらせを受け、思わず相手に殴りかかり、倒れたところを何度も蹴り、病院送りにさせてしまった。

そしてエンダーはそれが原因で適性テストから外され、自宅に戻されてしまった。

自宅に戻ったエンダーは適性テストから外された事で自暴自棄になり、兄からの嫌がらせを受けつつも姉のヴァレンタインの優しさに支えられていた。

その日の晩。
エンダーの自宅にバトルスクールの監督官であるハイラム・グラッフ大佐がやってくる。

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グラッフ大佐はエンダーに適性テストの卒業とバトルスクールへの入門資格が与えられた事を伝えに来た。

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混乱するエンダーとエンダーの家族達。

エンダーの少年達に対する暴行は、その場での適応と戦略として評価され、その適応力を戦略が生まれる頭脳を持ったエンダーが必要だというグラッフ大佐。

早速エンダーはバトルスクールへ向かう宇宙船に乗り込む。

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そこで同じくバトルスクールへ行くこととなった少年少女達と出会う。

宇宙空間にあるバトルスクールの中は軍隊基地の様な場所で、規律と規則が重視された場所だった。

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早速エンダー達は訓練を受けることに。

無重力空間での行動と対応、戦略を磨くために体を張った戦闘訓練。

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さらに護身術、フォーミックの基礎知識などが叩き込まれた。

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そんな中、しばらく経ってもエンダーには一向に友達が出来ず、孤独であった。

規律が重視され、正しいことも口答えとして捕らえられてしまうが、エンダーは正しいと思ったことは真っ当な理由と共に口にし、それが原因での上官からの懲罰にも屈せず、さらには自分に与えられたチャンスも、その場でベストパフォーマンスが出来る他の者を推薦するなど、特異な行動に次第にエンダーの周りには人が集まるように。

あるときエンダーが支給されていたタブレット端末でゲームをしていた。
そのゲームは、ある巨人が2つ並べられたグラスで毒の入ってないの片方を選べと問うものであった。

エンダーは片方のグラスを選ぶが、そちらは毒入りで、再度もう片方のグラスを選ぶと、そちらも毒入りであった。
エンダーは次にグラスを選ばず、巨人を襲うと言う第三の選択肢を選び、そのゲームをクリアした。

そのゲーム結果を監視していたグラッフ大佐は、今までそんな選択をする者は居なかった と、エンダーを昇格させることに。

昇格されたチームにやってきたエンダー。
そこでそのチームのボスであるボンゾ。そして少女ペトラと出会う。

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ボンゾは横柄な態度でそのチームを威圧によってまとめていた。
エンダーに戦闘訓練では何もするな。足を引っ張らず最後尾でじっとしてろと告げるボンゾ。

フレンドリーな態度のエンダーにペトラは好意を抱き、エンダーに戦闘の基礎を教える練習に付き合うことに。

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そのエンダーに対するペトラの行為に怒るボンゾ。
ペトラとの練習を禁ずるボンゾだが、エンダーはボンゾの打診ですぐに他のチームへ僕を移すことが出来る。基本的な命令は聞くから練習を容認してくれと頼み、ボンゾはしぶしぶ了承。

そしてチーム対抗の戦闘訓練が行われることに。

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ボンゾはこれまでの連勝記録を伸ばすため、作戦と円陣を乱さないよう、エンダーに手を出すなと再三注意する。

そして対抗戦が始まる。
ボンゾのチームが優勢であったが、切り札が止められてしまう。
その状況を見たエンダーは自らの判断で飛びだし、チームに貢献する。

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その後、エンダーはタブレット端末でゲームの続きをする。
ゲームでは目の前にフォーミックの姿が。
フォーミックは突然 姉のヴァレンタインに姿を変える。
ヴァレンタインを追っていくと、ある廃墟と化した城の跡地へ。

そのゲームはコンピューターとエンダーを繋いでもの語りを作り上げるもので、ヴァレンタインの出現はエンダーの精神的プレッシャーを象徴していた。

そしてグラッフ大佐はエンダーを呼び、かつてバトルスクールにあったドラゴン隊を復活させ、そのチームリーダーにエンダーを推薦。
これまで関わったチームの中から招集された少年少女達が集まり、ドラゴン隊が発足。

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エンダーはチームメイトにお互いを尊重するように、僕より良い作戦を思いついた者の意見は受け入れ、他のチームとは一線を画したチーム方針を固める。

さらにいきなりチーム対抗戦が開始。
相手はボンゾのチーム。

エンダーの作戦とチームワークにより、ボンゾのチームを撃破。

それに気を悪くしたボンゾはシャワールームに居たエンダーに突っかかる。
殴りかかるボンゾを護身術で交わすエンダー。
そしてボンゾが飛びかかってきた瞬間エンダーがボンゾを突き飛ばすと、バランスを崩したボンゾは倒れ、足場の角で後頭部を強打。

緊急治療を受けるボンゾ。
そのまえで涙を浮かべるエンダー。
そこにグラッフ大差が。

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ボンゾの安否を心配するエンダーに上辺だけの回答をするグラッフ大佐。
そんなグラッフ大佐の態度にエンダーは、もう訓練はしたくないと言い出す。

そしてエンダーは地球に送られることに。
そこでヴァレンタインと再会し、フォーミックとは言葉は通じないが、もしかしたらわかり合えるかも知れないと告白する。

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そしてヴァレンタインの言葉に感化されバトルスクールに戻ることを決意する。

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しかしエンダーが戻った先はバトルスクールでは無く、フォーミックが住む惑星の近くにある基地。
そこで最終訓練を受けることに。
その最終訓練を突破し、艦隊の総指揮を執るのが目標となる。

個室に案内されたエンダーはそこで一休み。
そして目を覚ますと、部屋に見知らぬ男の姿が。

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男は50年前にフォーミックとの戦いの末、亡くなったとされていたメイザー・ラッカムだと名乗る。
メイザー・ラッカムはそれまで秘密にされてきたフォーミックへ大打撃を与えた捨て身の攻撃の末、ギリギリの所で脱出していたという真相を極秘扱いされていた映像と共に、エンダーに打ち明ける。

するとその映像を見たエンダーは、フォーミックの弱点をズバリ言い当て、メイザー・ラッカムを驚かせる。
その弱点とは、フォーミックには女王アリのような個体がおり、その個体を倒すことで、フォーミック全体の戦意を消失させるというものだった。

そしてエンダーは最終訓練を受けるために、大部屋へ案内される。

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するとそこにはバトルスクールで共に戦ったドラゴン隊の姿が。
エンダーが地球へ帰還している間、ドラゴン隊は大佐から特別特訓を受けており、皆エンダーの帰りを喜ぶ。

そして早速最終訓練が開始される。

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最終訓練の内容は、フォーミックとのシミュレーション戦闘。

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幾度ものシミュレーションを重ね、戦略やフォーメーションなど様々なパターンを試していくドラゴン隊。

しかし最後の最後で敵わない。

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そして最終訓練もこれが最後となる日が来た。

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シミュレーション開始直後、フォーミックからのアクションが全く無い。
不思議に思ったが、先手をとることにしたエンダー。

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苦戦しながらもフォーミックの数をじわりじわりと減らしていく。

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見方の犠牲も壁として敵を追い詰めるエンダー。

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そしてエンダーの指揮とドラゴン隊それぞれの力を合わせ、フォーミックを壊滅させることが出来た。

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これで実践への準備は整った。

と、思った矢先、グラッフ大佐を初めとする大人達の様子がおかしい。
すると突然映像が。

それはシミュレーションの続きで、フォーミックの惑星が壊滅していく様子だった。
しかしシミュレーションは終わっており、何故こんな映像が流れているか不思議に思うドラゴン隊。
そこにグラッフ大佐がやってきてエンダーにお礼の言葉を継げる。

なんと最後のシミュレーションは、実はシミュレーションでは無く、実践だった。
大人達の策略により、実際にフォーミックを壊滅させることが出来ていた。

混乱し、動揺するエンダー。

エンダーはグラッフ大佐に食ってかかるが、本当のことを言ったら、どう行動するか心配だったからこんな形を取ったと。

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エンダーは、最初フォーミックは戦いを仕掛けてこなかった。
コミュニケーションは取れないが、本当に50年の間フォーミックは人類に対して敵意を持っていたのだろうか。
本当にこの時の戦いの為に備えていたのか。
そんな丸腰の相手にいきなり攻撃を仕掛けたのは我々だ。
一度はコロニーを作るために地球に来たが、それ以来50年の間、地球には近づいていない。
追っていったのは人類だ。
と自暴自棄になるエンダー。

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エンダーを英雄と呼ぶグラッフ大佐に、自分を大量虐殺犯だと罵るエンダー。

荒ぶるエンダーを取り押さえ、鎮痛剤が打たれる。

そして目覚めたエンダーは制止するペトラを振り抜き、突然部屋を飛び出す。
基地から出て、惑星に降り立つと、そこにはエンダーがバトルスクールのタブレットでプレイしてきたゲームに出てきた世界と同じ光景が。

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エンダーはやっと分かったと。
ゲームを通じてフォーミックが自分にコミュニケーションを計っていたこと。
何かを伝えてきたこと。

そして目の前にある廃墟に足を踏み入れるエンダー。

中心部へたどり着つくとそこには何かの卵らしきものと、怪しい影が。

果たしてフォーミックがエンダーに伝えたかった事とは。
そしてエンダーの運命は。

結末は作品を見て体感してください。

エンドロール後はなにもありませんでした。

この作品を観るには

感想とか

エンダーのサクセスストーリー

本作はいじめられっ子エンダーがリーダーシップを見せるまでの成長を描いた作品で、中盤からのエンダーの様変わりが観ていて「おお、かっこいい!」と思わせてくれます。
特にエンダーがドラゴン隊のチームリーダーになったときのメンバーに対する対応や態度には感動させられます。

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そしてエンダー自身のフォーミックに対する葛藤など。
ただ、この葛藤が場面場面ですぐに解決して
「どうしよ・・・」→「よしそうしよう!」
とすぐに立ち直ってしまう点が、ちょっとついて行けなかった。
「エンダーが悩んでる・・・」より「また情緒不安定か」と思えてしまったのは残念。

不可解な部分が多い

冒頭にある世界設定がほとんどダイジェストなので、いきなりその内容をきっちり理解して入り込めなかった。
エンダーの兄が何故エンダーに対して強く当たるのかなど、不可解な部分が回収し切れてないのが気になって、スッキリしない。

最終的にオペレーションしかしない子供達が何故宇宙空間で体を張って打ち合いゲームなどをしなければならないのか。
何故それが訓練とされるのか。
状況判断と対応を伸ばすための訓練だとしても、体を張る必要はあったのか。
全部シミュレーションで訓練すればいい話なのかと言う疑問は、作品自体の批判になりそうなのであまり深く突きません。
ただ、この訓練にどんな意味があるのか明確な説明が無いため、そこが最後までモヤモヤしてしまった。

どこかもの足りない

話がスルスルと進んでいく一方で、何故そうなったのか、どんな経緯を経たのかをスッキリと飛ばしているので、感情移入が難しい。
仲間との信頼関係ももうちょっと濃く描いてくれれば、最後みんなが集結する場面でもっと盛り上がったと思う。

そして意識不明になったボンゾのその後について全く触れられておらず、この辺もモヤモヤ。

これは1作完結で描くような作品でないように感じました。

無数の戦艦が美しく舞う

残念ながら近くの映画館では3D上映されていなかったので、仕方なく2Dで観たんですが、この作品の一番の見所であるシミュレーション場面。
見事なVFX映像は、非常に美しく細かな描写に感心する部分もありました。

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が、しかし全体を通すとそれも一部分で、戦っている最中も結構顔アップが多いので、その映像をたんまり楽しませてくれなかったのは残念。
もうちょっと観客をもう一人のドラゴン隊として映像を見せてくれたら鳥肌ものだったかも知れない。

そして宇宙空間での演出。
これは先に公開されたゼログラビティを観た後だと少しショボく見えてしまった。

冒頭で宇宙空間にあるバトルスクールに向かうロケット内での、子供達が腕をプカプカさせるだけという無重力の表現に少し笑えてしまったが、それ以外ではそれなりの無重力感を出していました。

目を引く豪華俳優陣

主人公エンダー役のエイサ・バターフィールド。

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「ヒューゴの不思議な発明(2011)」から数年しか経っていないのに、結構大人に成長しており、髪型もだいぶ違っていたので、また印象がガラッと変わって、違った表情を見せてくれました。

そして誰もが知るハリウッドスター、ハリソン・フォード。

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ハリソン・フォードと言えば体を張ったアクションが特徴ですが、今作では大人の企みを持った冷血な大佐役。
私の見解ですがハリソン・フォードの良さが全く出ていないように感じてしまい、宝の持ち腐れ感が否めませんでした。

そしてこちらも名優ベン・キングズレー。

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英雄メイザー・ラッカムを演じるのですが、特異な師匠肌を見せてくれるのかと期待したら、昔話を語るだけ語って、それ以降はあまり登場せず。

ちょっと本作はハリソン・フォードとベン・キングズレーの使い所を持て余してる。

個人的注目はボンゾ・マドリッド役のモイセス・アリアス。
キャラクターの小者っぷりを見事なまでに表現してくれている。
エイサ・バターフィールドは比較的表情が固めなので、微妙な表情の変化など、特に長けて見えた。
今後の活躍に期待できます。

続編について

原作である小説は長編短編を含め、20以上の話が作られており、現在も続編が書かれている最中。
今作はそのシリーズの中から「Ender’s Game」と「Ender’s Shadow」の2つの話をまとめたものとなっている。

この様に原作もまだまだストックが沢山あるということで、続編の話は出ていないものの、可能性は低くないと思いますが、全米での映画公開後、するするとランキングを落としていったのがちょっと気になるところ。

この作品を観るには