猿の惑星:新世紀(ライジング) とは

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猿の惑星:新世紀(ライジング)
(原題:Dawn of the Planet of the Apes)
日本公開日:2014年9月19日

アルツハイマー型認知症の新薬ALZ-113が後に殺人ウィルスとなってまんえいしてから10年。
抗体を持つ人類は生き延び、荒れ果てた土地で生活し、ALZ-113が投与され知能が向上した猿たちも別の場所で子孫繁栄し、生きる住処を確保していた。
そんなある日、人類は生き延びるために猿たちの住処に足を踏み入れてしまい、10年ぶりに人類と猿が相まみえ、お互いに生きるためのにらみ合いが始まる。

オススメポイント

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猿と人間の絆を描いた作品。感動シーンもありますが、そこも前作を見てない人には???です。 性的なシーンもグロテスクなシーンも特に見受けられませんでした。

前作「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」から丁度3年での続編。 前作から10年後の世界を描いています。 制作の日程により、前作監督のルパート・ワイアットが降板し、新たに「クローバーフィールド/HAKAISHA(2008)」を手がけたマット・リーヴスが就任。 脚本は前作同様リック・ジャッファとアマンダ・シルヴァーが担当しているので、物語は密に繋がっています。 猿側は前作で生き残ったキャラクターが続投。 人間側のキャストは一新されていますが、一部で前作のシーザーの飼い主であるウィルもチラ登場します。

予告編

これより下記にはネタバレが含まれます

※これ以降は筆者の感想と共に作品の内容に深く関係する記述が多く含まれます。またこれは筆者の私見であり、矛盾や間違い等がある場合があります。それら全て含め、予めご了承頂いた上でご覧下さい。

前作から今作までの間をまとめたムービー

あらすじ(ネタバレ)

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アルツハイマーに効く新薬「ALZ-112」を開発。
チンパンジーを治験に用い、そのノウハウから「ALZ-113」を開発。
しかしそれは人間には毒であることが分かったが、既に時遅し。
そのウィルスは猿インフルエンザと呼ばれ瞬く間に広がり、ウィルス研究の中心部であったサンフランシスコから米国全体、他の国々までに広がり、計りきれない死者を出すこととなった。

一方、ALZ-113を投与されたチンパンジー達は人間とは違い、その効果がハッキリと現れ、人間に近い思考を持つまでに成長。
人間の住処を離れ、山奥へ逃げていった。

それから10年後。

ALZ-113で知能が優れ、言葉やジェスチャーでコミュニケーションを取れるまで成長したチンパンジーたちはサンフランシスコの山奥で立派な住処を作り上げ、子孫繁栄し、仲間達と平和な毎日を過ごしていた。

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その猿たちのリーダーである シーザー も、また息子を持ち、さらに新たな命を授かっていた。

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人間に育てられたシーザーは10年間の間、人間と出会うことも無く、既に人間達は絶滅してしまったのでは無いかと考えていた。

一方、ALZ-113の驚異から逃れた人間達はサンフランシスコの廃墟に集落を作り、ひっそりと暮らしていた。

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生き残った者達は、確証こそ無いもののALZ-113の抗体を持つ者達とされていた。

そんな中、人間が生き残る為の燃料が尽きようとしており、山奥にあるダムを再建する計画が進んでいた。
その計画の発案者であるドレイファスは、共に集落を築き上げたマルコムを指揮に仲間のカーヴァー、フォスター等と山へ向こう事に。

すると山奥を進んだ山道で一匹の猿と出会う。

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お互いに驚き、恐怖に捕らわれた人間のカーヴァーは猿のアッシュに対して発砲してしまう。

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倒れるアッシュに周りに居た猿たちは動揺。
マルコムは攻撃する意思は無い!と告げるが、周りの仲間達は猿に言葉が通じるわけが無いと。

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しかしそこに居た無数の猿等は明らかに普通の猿では無いとすぐに気付く。

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そこにシーザーが駆けつけ、「去れ!」と一喝。

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集落に戻ったマルコム達はドレイファスにあったこと告げる。

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が、その光景を見ていないドレイファスはまともに信じようとしなかったが、混乱を防ぐために他の住民達には口外しないようにと。

一方、猿たちの住処ではシーザーの右腕であるコバが「何故やり返さなかった」と詰め寄る。

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それにシーザーは長年をかけて築き上げたこの住処を、そんな争いで失いたくないと。しかし行動を起こすことは必要だと。

猿たちの中ではシーザーは絶対。
コバも縛り付けられていた研究所からシーザーに救われたことから、その考えと行動に反する者は居なかった。

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その後、シーザー達は100匹を越える数で人間の集落へ。
言葉を発する猿に驚く人間達にシーザーは
「猿たちは猿たちの住処に。人間達は人間達の住処に留まり、二度と近寄るな」と宣言。

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そのまま去って行く。

驚く住民達をなだめるドレイファス。
しかし燃料不足は避けて通れない危機的状況に変わりは無く、追い詰められたマルコムは再び山奥へ行き話してみると。
3日の猶予が与えられ、もし3日後までに帰ってこなければ軍隊が残していった兵器を駆使して乗り込む計画となった。

そしてマルコムを筆頭に看護師で妻のエリー、息子のアレクサンダー、猿を撃ったカーヴァー、仲間のフォスター等と車で山へ。

途中、2時間で戻らなければ街へ戻れと言葉を残し、車を降りたマルコムが単身で山奥へ行くことに。

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そんな山奥で猿たちに囲まれ、猿たちの住処へ連れて行かれるマルコム。

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マルコムが話そうとするが、シーザーは 人は嘘をつく と聞く耳を持たない。
が、なんと話を通し、ダムの電力が必要だとシーザーに訴える。

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シーザー達の住処を荒らさない。もし嘘をついたら殺しても良いと約束し、シーザー達に武器を預けることを条件にダム再建作業を合意。

研究所で人間に酷いことをされたコバは人間を憎むことしか出来ず、シーザーの行動に疑問を示すが、作業が終われば人間達は集落に戻る。
ここで争えば猿が何匹死ぬか分からない。と言うシーザー。

一方、マルコム等は山奥に作ったテントで明日の作業に備えていた。
武器も奪われ、殺されるかも知れないと怯えるカーヴァーに、殺すならとっくに殺してるだろうと、なだめる周り。

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そして翌朝、不信感の消えないコバはシーザーに内緒で人間の集落へ偵察に。
そこで大量に備えられた兵器と、戦闘のシミュレーションをしている人間を発見。

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その頃、マルコム等はダム再建の作業を開始。
その作業中マルコム達は施設の中に閉じ込められてしまう。

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そこに監視をしていた猿たちがマルコム等を助ける。

猿等にお礼を言うマルコム。
するとそこに一匹の猿の子供が。
エリー等と戯れ、和む様子。

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そして猿の子供が ある道具箱に近づこうとした瞬間、血相を変えて子供を追い払うカーヴァー。
その行動に驚き、威嚇する猿たちに、道具箱に隠していた銃を取り出し、猿等に銃口を向けるカーヴァー。

一触即発の中、マルコムの制止でカーヴァーから銃を取り上げるが、その一件でシーザーは直ぐにここを去れと。

その夜、マルコムとエリーはシーザーに謝るべく、猿の住処へ。

するとシーザーの家に通される。

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その奥では衰弱したシーザーの妻が。
病気なのか?と心配するマルコムに、ここには来るなと言うが、看護師のエリーは、シーザーの妻を助けることが出来ると、為す術の無かったシーザーは藁をも掴む思いで、エリーは妻へ抗生物質を投与。

その行為で、あと1日だけ現場に残ることが許される。

そしてカーヴァーは車に軟禁。
ダムの再建が再開。

一方、人間の集落から戻ったコバは、シーザーにこれ以上人間の手助けをするなと楯突き、もみ合いに。

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乱闘の末、シーザーに押さえつけられるコバ。
今にも首を絞められる所から「猿は猿を殺さない」とコバを解放。

そして翌日、コバは再び人間の集落へ。
武器庫へ行き、武器を入手。
そこに居た人間を銃で殺してしまう。

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一方でマルコム達はダムの再建に成功。
電力が戻り、みんな揃って喜びを分かち合う。
そして完成までを共にしたマルコムとシーザーには信頼関係が生まれていた。

そんな中、車で電力の回復を知ったカーヴァーも喜ぶか、そこにコバが。カーヴァーは殺されてしまう。

そんな事もつゆ知らず、猿の住処に招待されるマルコム等。
共に最後の夜を感慨深く過ごす中、少しシーザーが席を外す。

すると目の間にコバが。
シーザーと目が合った瞬間、コバの放った銃弾がシーザーに命中。
崖から転げ落ちるシーザー。

立て続けにコバは住処に放火。
燃え上がる住処に、やったのは人間達だ!人間がシーザーを殺した!と。
シーザーの為に戦う!と猿たちを鼓舞。

マルコム等は仲の良かった猿のモーリスに誘導され、その場を逃れる。

電力の回復した人間等の集落では電力回復パーティーが。

しかしそれも長くは続かず、そこに猿の集団が。
コバを筆頭に猿が襲い来る中、銃で威嚇、猿を次々と銃殺する人間。

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猿等は人間たちから奪った銃で応戦。

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人間の集落を取り囲む塀を境に攻防戦が続く。

しかしついにその防戦も突破され、猿等は人間の集落に突入。
人間を次々と追い詰め、ある一角に監禁。

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翌日。
モーリスに逃がしてもらえたマルコムとエリー、アレクサンダーの3人は山奥で倒れていたシーザーを発見する。

衰弱する中、自分の家族の安否を心配するシーザー。
シーザーを撃ったのはカーヴァーの仕業だと思っていたマルコムだが、シーザーはそのことを否定。やったのは猿だと。
手当てをしなければと車に運ぶことに。

一方、人間の集落ではコバの強制的な人間への当てつけが続いており、コバの支配的な命令で他の猿を指揮。
シーザーはこんなことを望まないと、シーザーへの忠誠が取れない者はバスへ監禁され、ボスは俺だ!と呼応するコバ。

そして弱り切ったシーザーを乗せた車はサンフランシスコの街へ。
するとある場所でシーザーが騒ぎ出す。

そこはもう何年も人が住んだ形跡も無い一軒家。
家に入り、1階のソファーに寝かされるシーザー。

何故ここなのか疑問に思うマルコム等だが、アレクサンダーが見つけた写真に写っていたシーザーを見て、昔シーザーはここに住んでいたことを知る。
そこはシーザーを育ててくれたウィルの家だった。

そして手当が必要なため、マルコムは集落への潜入を。

一方、シーザーに忠誠を誓ったモーリスはバスで監禁。

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そこにコバ側に着いていたシーザーの息子のブルーアイズが。
コバにもモーリスにも父親同然に育てられたブルーアイズに、モーリスは自分の考えを尊重しろと助言を伝える。
さらにコバの独断に不信感が募ってきたブルーアイズ。

そこにマルコムが。
猿たちに見つからないよう、手術道具を手に入れ、こっそりシーザーの元へ帰ろうとしたとき、ブルーアイズとばったり出会ってしまう。
銃を持ったブルーアイズはマルコムを見逃して去って行くが、マルコムはブルーアイズに「君の父親は生きている」と。

家に戻ると、一緒に着いてきたブルーアイズを見たシーザーは妻と弟は無事を確認し、再会を喜ぶ。
そこで全ての発端はコバの仕業であることを知ったブルーアイズはシーザーの力になると、コバへの報復を計画。
そしてシーザーはエリーから手当を受け、後はシーザーの回復力次第だと。

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それから2日後。
歩けるまでになったシーザーは家の二階でビデオカメラを発見する。
そこには幼き頃のシーザーと、シーザーに言葉を教えようとしているウィルの姿が映っていた。

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そこにマルコムが。
ビデオの人物が誰なのか聞くと、「良い人。貴方みたいに」と。

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すると窓の外に大勢の猿たちが。
ブルーアイズの手によって、コバ派から解放されたシーザー派の猿たち。
その流れで、人間等も解放されていた。

シーザー等はコバ派に見つからないよう、マルコムの指導で地下を通り集落へ。
するとそこで他の人間とばったり会ってしまう。
マルコムのファインプレイでなんとかシーザー達を隠し、そこで別れ、シーザー等を裏から集落へ向かわせることに成功。

そして集落のタワー地下で監禁から解放されたドレイファス等と合流したマルコムは、ドレイファスがを上のタワーを占拠している猿たちを爆弾で一網打尽にしようと計画していることを知り、驚愕する。

そして時機をうかがい、マルコムはドレイファス等に銃を向け、シーザー達の機会を壊さないように制止を求める。
が、分けの分からないドレイファスは何がどうしてマルコムが猿たちをかばっているのかサッパリだった。

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一方、タワーの上に君臨するコバの元にシーザーが。
死んだと思っていたシーザーが目の前に居る事に驚くコバ派の猿等。
するとコバは、既にコバが猿たちのボスで、ここにシーザーの居場所は無いと告げる。

シーザーは人間は戦争を望んでいない。生き残りたいだけだと言うが、
コバは猿のために戦う!と、それは自分の為だと言うシーザー。

そしてシーザーとコバの体を張った戦いが始まる。

激しい争いの末、コバは鉄筋に片腕で捕まり宙ぶらりん。目の前の仁王立ちするシーザーを見上げる状態に。
「猿は猿を殺さない」と言うコバに「お前は猿では無い」と告げるシーザー。

一方、爆破を制止していたマルコムにドレイファスが既に軍事基地と連絡が着き、すぐに軍がやってくると説得。

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しかし一向に耳を傾けないマルコムに、ドレイファスは「俺は人類を守ろうとしている!」とマルコムの隙を突いて爆破スイッチを押す。
そして爆破に巻き込まれるドレイファス等とマルコム。

果たしてシーザーの運命は。
マルコムの思いはシーザーに伝わるのか。

エンドロール後はちょっとした音声のみ。

この作品を観るには

感想とか

10年間の歳月

前作から10年後の世界と言うことで、ウィルスで大半の人類の命が失われ、生き残ったわずかな人等が半ジャングルと化したサンフランシスコ街で生き延び、

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一方で猿たちもサンフランシスコを後にし、すぐ近くの森で新たな住処を築き、立派な一族を作り上げ、

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人間の住み良い環境が減っていく中で猿たちが増えていく様子と、再び相まみえた両者が生き残りを賭けて戦う様子がまさに新世紀。

シーザーの葛藤

良い人間と接してきたシーザーだからこそ分かる人間の良さ。
しかし猿たちのボスとして自分と同じ仲間達を思う気持ちもある。
この二つの天秤に賭けられた苦悩が、見ていて心が締め付けられます。

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猿と人間との関わりを大きく変えてしまうかも知れない決断が本作では何度かあり、その中でのシーザーが下す決断と葛藤も見応えがあります。

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猿は猿を殺さないと言う一族の掟というものも、この作品を深く考えさせられるポイントでもあり、
それ故にラストでシーザーが同士に対する報復への決断にも大きな意味と重さが窺えました。

育ての親との思い出

前作でシーザーを育てたウィル。
今作では監督とキャストが一新され、ウィルの登場も絶望かと。
しかし予告編でウィル家の窓がチラ見できたので、何かしらのエピソードが盛り込まれるのか期待してました。

そして劇中で、衰弱したシーザーが再び家に戻ると言うニクい演出。
と、懐かしのビデオを見るシーザー。

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それまでウィルとの話など一切触れてないので、私はここで涙腺をノックアウトされました。

あんな別れ方をしても、ずっとウィルのことを忘れていなかった。
それよりシーザーという名を捨てないで居てくれただけでも泣けます。

相変わらずの猿へのこだわり

猿の惑星と言うことで、前作動揺、それ以上に猿の動きや見た目などへのこだわりに感心します。
シーザー役は前作からアンディ・サーキスが続投しており、言わずと知れた猿のキャプチャーではスペシャリスト。

特に今作では”表情”にこだわっており、役者の顔にキャプチャーカメラを向けて表情までをキャプチャー。

キャプチャー収録メイキング

ロケット役 テリー・ノタリー 猿の動き講座

シーザー役 アンディ・サーキス インタビュー

より猿が人間に近づいた証として、細かな表情の変化を意識しているのだとか。

少しボリューム不足?

前作が物語の発端となって、猿たちの急激な成長と周りの人間をスルスルと超越していくスピーディーな展開が見ていて楽しかった反面
今作は人間と猿の攻防戦なので、ジワジワと進む物語に少し中だるみ感を感じてしまいました。

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特に今作は猿たちにスポットを向け、猿たちのエピソードを掘り下げる内容となっているので致し方ないのですが、もうちょっと物語を揺るがすような事件も欲しかった。

結果的にいよいよ次回作で大決戦!という橋渡しとも思えてしまう前哨戦のようなものに感じてしまったのも正直なところです。

次回作は

既に2016年7月29日に続編を公開予定であると発表されています。
監督は今作のマット・リーヴスが続投する予定だそうです。

物語も今作のラストで軍が向かってきているとの話もあったので、次回はいよいよ戦争!?と。
今作では猿の人間への考えが濃く描かれていたので、次回作では人間の猿への思いというものを描いて欲しい。

個人的には再びウィルの再登場も期待してしまいますが、どのタイミングで再会するかってのも気になるところではあります。

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まさか既にウィルスで亡くなってるなんてパターンは避けて欲しい。

この作品を観るには