映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』感想(ネタバレ&あらすじ有り)

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日(原題:Life of Pi)
日本公開日:2013年1月24日

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 とは

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トラと共に海上を漂流した16歳の少年 パイ の壮絶な227日を描いたベストセラー小説「パイの物語」を実写化した作品です。

オススメポイント
一人で見る:
友達と見る:
デートで見る:
家族と見る:
お子様と見る:

アカデミー賞の作品賞、監督賞を含む11部門にノミネートされた期待の一作です。

この映画ですが、ただのパニック映画ではなく、”トラと漂流”という点が重要になってます。
幼い頃から動物を愛し、その動物達を友達だと思う心を持っている主人公のパイが、動物との共存を心から思う気持ちがあった上でのこのストーリー展開です。

宗教的な観点がかなり強い描写もありますが、支障のあるほどでもありませんでした。

映像美も素晴らしいですが、ただ見るだけの映画ではありませんでした。
これを見た後に物語の真意を考えることでより楽しめる映画です。


予告編

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これより下にはネタバレが含まれます

※これ以降は筆者の感想と共に作品の内容に深く関係する記述が多く含まれています。最低限の配慮はしていますが、今後作品をご覧になる際、先入観により純粋に作品を楽しめなくなる可能性があります。またこの感想は筆者の私見であり、矛盾点や間違いがある場合があります。それら全て含め、ご了承頂いた上でご覧下さい。


あらすじ(ネタバレ)

まず長々とインドっぽい情景が流れます。

そして場面はカナダ人ライターと成人のパイの会話へ。
処女作品がそこそこの評価を受けたカナダ人ライターは次の作品のネタに困っており、パイの元を訪ねる。

そこでパイはある物語をカナダ人ライターに話し始める。

パイの幼少時代から16歳になるまでの生い立ちから。
ある日少年のパイはちっちゃい頃に触れ合っていたベンガルトラに会いに行くことに。

しかしそこに居たリチャード・パーカーは昔の面影もない、野生のトラであった。

そして16歳になったある日のこと。
パイの一家は動物を多数所有しており、街の土地の動物園に動物を提供して家計を生計していた。

しかし、新しい生活を求めた父親はカナダへの大掛かりな引っ越しを計画。
動物を売って、仕事を見つけ、安定した生活をするために。

そしてパイは大型の貨物船に乗り、カナダを目指すことに。
船の中で早速異文化の仕打ちを受けるパイ一家。
貨物室でパイは父親と話すことに。
パイは動物を友達だと思っていたが、父親はただの商売道具にしか思っていなかったことを痛感する。

そして航海途中、貨物船は大嵐に見舞われる。

パイはその雷雨に興味を示し、家族全員が寝ている中、船の甲板に出てしまう。
すると突然警報が。
船を見渡すと波にさらわれ、海に転落する人々。

パイは家族の居る部屋に戻ろうとするが、すでに船内は浸水しており、なんとか泳いで向かおうとするが、水流で戻されてしまう。
仕方なく甲板に戻ると、貨物室から逃げてきた動物たちで大変なことになっていた。
船が大きく揺れる中、脱出ボートで今にも脱出する大人達を発見。

パイは大人達に家族を助けてくれと頼むが、まともに聞き入れてくれず、無理矢理脱出ボートに乗せられてしまう。
するとそこに一頭のシマウマがボートに飛び乗ってきた。
その衝撃でボートは海に。

流されるボートから沈没する貨物船を見るパイ。

翌日。
ボートにはパイとシマウマ。
そしてどこからか流れて来たオラウータン。
そしてハイエナ。

途方に暮れる中、その夜に腹を空かせたハイエナがシマウマを食べ殺してしまう。
それにショックを受けるパイ。

まともに寝ることもできず、翌朝。
パイは救命のいろはが書かれたノートを見ながら小舟を作り上げる。

そんな中、ついにハイエナの牙はオラウータンにも。
オラウータンを殺されたことに腹を立てたパイはハイエナに罵声を浴びせた、その時。
ボートの影から一匹のトラが現れる。

驚いたパイは先ほど作っていた小舟へ。
そしてパイとトラとの漂流が始まる。

パイは救命ボートに載っていたビスケットと真水を作ることができる装置でなんとか食を繋ぎ、トラは船に残されたシマウマなどを食べて生き延びていた。

そして数日が経ち、パイはトラとのコミュニケーションを図ろうとするが失敗。
そして次第に痩せていくトラ。

腹を空かせたトラは水中に居る魚めがけてダイブ。
トラはボートにしがみつくことしかできず、そのまましばらくボートに戻れなくなってしまう。

そこでパイは休戦中に小舟を改良。
魚の漁をすることに。
なんとか捕まえた魚をトラに与える。

そしてまた数日後、パイたちの元に大量のトビウオの群れが襲来。
ボートに大量の魚が打ち上がる。

そこに紛れて飛んできた一匹のマグロ。
トラを威嚇しつつ、マグロをゲット。
マグロをエサにトラを餌付けし、コミュニケーションをはかれるようになった。

そんな中、突然の嵐に見舞われ、パイの作った小舟が流されてしまう。

嵐で衰弱したトラを抱え込むパイ。
天に最後の別れを言い、気を失うパイ。

そしてパイが目覚めた時、ボートは海上にたたずむ島に漂着していた。
船にトラはおらず、パイも島に上がることに。

そこには大量のミーヤキャットと飲める水などがあった楽園だった。
トラもそこに居たミーヤキャットなどを食べ、難を逃れることに。

パイはそこに寝床を作り、そこで一生暮らそうとしていた。

そんな夜中、パイが目を覚ますと、そこには楽園とも言えぬ、昼間は飲めた水が酸に変わっており、島の華を見ると人間の歯が。

島は動物を食べて起きていると知ったパイ。
ボートに大量の食料を積み、トラと共に島を出ることに。

そしてさらに何日が経ったか。
目の前にはメキシコの沿岸。

砂浜に倒れるパイ。
かろうじて目をあけるとトラは目の前のジャングルへ向かっていった。

すぐに何人かの人に見つけられ、子供のようになきじゃくるパイ。
それは助かったことより、分かち合い、友達になれたと思っていたトラに最後に助けてもらえなかったことに。

その後、療養中のパイの元に2人の日本人が訪れ、事件の報告書を作りに来た。

パイはあった事を話すが、そんな報告書は作れないと。
話のつじつまが合わない。そんな島はあり得ないと言う二人。

そこでパイは報告書に書けるように、もう一つの物語を話し出した。
それは前の物語より現実的であり、非常に悲しい内容の物語を。
船の沈没後、動物は出てこず、救命ボートの上での人間同士の悲惨なものだった。

その内容に納得した二人はその後パイによくしてくれ、去っていた。

そして現代へ戻る。
パイはその話をずっと聞いていたカナダ人のライターに一つの質問を。

二つの物語を話したが、この話を証明できる人は他に誰も居ない。
君が私なら二つの物語のどっちを選ぶ?と。

カナダ人のライターは、トラとの話を選ぶ。

その後パイは次回作に悩んでいたライターにこの話を提供する。

そしてエンディング。

最後のどんでん返し

最後の最後で、「え!?作り話だったの!?」と結末を観客に託す終わり方でしたが、そんなどんでん返しも許せてしまうほど、魅力的なフィクションでした。
特に漂流中のシーンは数々の見せ方をしてくれて飽きずに見られたのが良かったです。

限られた食料。
それが尽きる前に次の行動に移っておく。
一人きりでの精神の持ち方。
異色の同乗者との付き合い方。
など、生きる術、精神の格闘、トラとの共存。
全てにおいて、パイの選択を期待と不安の狭間で見ることができると思います。

動物たちのリアルな表現

演出ではやはりVFXが素晴らしい。

トラのCGは本当に素晴らしい出来で、合成と思うぐらいリアルに表現されています。
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リズム&ヒューズ・スタジオと言うVFXで数ある功績を残している会社が携わっており、トラを含む動物のVFX(CG)が素晴らしく、もはや本物顔負けの出来上がりで、CGだと一切疑わずに見ることができると思います。
あの「ナルニア国物語」での動物たちを作り上げた会社なので、あの動物たちを思い浮かべればそのクオリティもよく分かると思います。

後半で出てくるミーアキャットの群れも、あれ全部CGで処理してると考えると、その作業・・・素晴らしい仕事です。
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そして沈む船、光る海など光の使い方がとても綺麗でした。
冒頭で主人公のパイが宇宙に魅せられる話があるんですが、それを彷彿とさせる描写もたくさんありました。

海や池を宇宙に見立て、幻想的で綺麗でした。
言うなればアバターのあれのような。

美しい3D描写

そして3D効果がなかなか生きていたと思います。
飛び出し加減はそれほどでしたが、あたかもパイと共に漂流してる気持ちになれる効果は少なからずあったと思います。

海のリアルで綺麗な場面、暗くて恐ろしい場面、色々な描写が見られて、見る点でも楽しめると思います。
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冒頭の動物たちや、水中で船が沈没するシーン、漂流中にトビウオが大量に迫ってくるシーンなど、3Dに特化したシーンも数多くありました。
これは是非IMAX3Dで見ることをオススメします。

真実は何なのか

ラストで、トラがパイの方を見ずに去って行くシーンは、二つ目の物語で語った人の肉を食べてしまったパイ(トラ)が救出されたことによって、その本能から解かれた意味を表しているのかもしれません。
トラは森の中へ消えてゆくのではなく、急に消えたのもこれを意味しているのかも知れません。
振り返らずに前を向けというメッセージも含まれていたのか。

また、パイが話したトラとの漂流記の物語は療養中に現実の出来事を受け入れるまでのパイ自身の気持ちの格闘から生まれた物語なのかも知れません。
ここについては、どちらが本当の話か断言できませんが、私はこう思いました。

この映画を見終わって、あなたならこの夢のような話と現実的な話のどちらが真実だと思うか。
またはあなたならどちらを選ぶか。
そう問われているような気がする、見た人によって、その答えは変わる結末でした。

100人が見たら100通りの解釈が生まれるストーリーだと思います。

こんな記事書いておいて言うのは元も子もないですが、特にこの映画の見方は「作り話」と言う概念を捨てて見ることがポイントです。

美しい映像アートとファンタジー溢れるストーリー。
澄んだ心で見ることができました。

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